こんにちは、田中です。
このシリーズでは、当ブログに問い合わせのあった不動産投資のお悩み相談の事例を紹介していきます。
今、まさに不動産投資で悩んでおられる方も多いと思います。
- 提案してくれている会社は信用して良いのだろうか
- 提案されている物件は購入して良いのだろうか
- そもそも不動産投資を始めるべき?
- 投資を始めないといけないと頭で分かっていてもなかなか一歩踏み出せない
- 売却しようとしたらサブリース契約が原因で査定額が2割減
- サブリース契約の解除を申し出たが門前払い
など、お悩みの方にとって、有益な情報提供になればと考えています。
それでは、今回の相談事例について紹介していきます。
※相談者に許可を取って執筆しています。相談いただいた情報を無断で掲載はいたしません。
相談者のプロフィール(仮名: 小笠原 亮さん)
相談のきっかけと内容
老後を見据えた資産形成
将来の資産形成のために不動産投資を検討。しかし、初めて不動産投資で購入の踏ん切りがつかず、相談をお寄せいただきました。
小笠原さんは、42歳で年収1,200万円という高属性でしたが、都内で家族暮らしということもあり、あまり貯金はないとのこと。70歳まで働くつもりではあるものの、50代半ばには役職定年により年収が下がります。
そこで、老後に生活水準を落とさないために、今からできる準備を始めたいとお考えでした。
都内・駅近エリアのワンルームを検討
ご相談内容は、都内の駅近エリアにあるワンルームマンションについてでした。
小笠原さんの意向を確認
まず、小笠原さんに資産形成の目標について確認をしました。
小笠原さんが65歳から年金を受け取り始めた場合、月々の厚生年金は26万円ほどが目安。豊かな老後には月々35~40万円必要と言われていることと、今後のインフレの進行を加味して、毎月40~50万円を老後に確保したい、との意向でした。
そうなると、月々15~25万円のキャッシュフローを生み出す資産を現役時代に築く必要が出てきます。
加えて、ハイリスクな投資は避け、堅実な運用をしたいとの意向もありました。
不動産投資で言えば、年収1,200万円ともなるとワンルームだけでなく、一棟アパートも視野はいってきます。ただ、一棟アパートは表面利回りは高く見えますが、実際はハイリスクハイリターンな投資です。
一方で、ワンルームはローリスクミドルリターンな投資と言えるでしょう。
小笠原さんもそのあたりは理解されていて、ローリスクなワンルームを検討されていました。
3〜4部屋を老後まで保有するつもりで検討
小笠原さんはワンルームマンションを3~4部屋をローンで購入し、繰上げ返済を進めることで、65歳時点で家賃収入を確保する戦略を描いていました。
もちろん戦略は人それぞれですが、長期保有前提で物件を判断すると、どうしても物件を見極める目が甘くなってしまうもの。だからこそ不動産会社は長期保有前提で営業してくるわけですが・・・・。
田中としては、5~10年で売却して売却益が出るかどうか、という視点で物件を選ぶべき、という内容をお伝えしました。
田中が物件を見て感じたこと
結論、小笠原さんから相談された物件は投資すべき物件だったため、その旨をお伝えしました。
投資すべきと判断した理由
この物件について「進めてよい」と判断した理由は以下の通りです。
1. 再開発に伴う地価上昇が見込める
周辺は再開発が進んでおり、今後も人口流入や地価の上昇が期待できます。これは将来的な売却益にも直結します。
2. 賃貸需要が高く、空室リスクが低い
駅近で単身者需要が強いエリアのため、空室リスクは非常に低く、安定した賃料収入が見込めます。
3. 価格と家賃のバランスが妥当
築20年弱と中古ですが、家賃は周辺相場に照らして適正で、価格も高すぎません。家賃と価格のバランスが取れている点は、投資効率の面でも重要です。
4. 管理体制が良好
提案されていた物件はサブリース契約ではなく、通常の一般管理。家賃保証の代わりに売却時の価格が抑えられるサブリースは、中期保有には向いていません。将来の売却益を重視するのであれば、一般管理がベストです。
5. 修繕積立金も十分
大規模修繕に向けた修繕積立金がしっかり積み上がっており、直近での負担増のリスクも限定的です。
6. 金利2%後半でも想定内
今回のローン金利は2.5%。金利としては標準的な水準で、自己資金を多く入れることによって月々の返済も抑えられます。
7. 手出し額は妥当
まともなワンルームマンション投資では、毎月数万円の手出しが発生します。この点を懸念されていましたが、賃料と物件価格のバランスを考えると、ごく一般的な水準です。
たまにプラスのキャッシュフローを謳う不動産会社が存在しますが、それは往々にして資産価値が低いか、極端な築古物件でしょう。そうでなければサブリース契約で家賃を釣り上げている可能性もありますからね・・・。
無理にキャッシュフロー重視で選んでしまうと、出口戦略で苦労することになります。
8. 固定資産税の考慮
このエリアの築20年前後のワンルームマンションでは、固定資産税・都市計画税は年額6〜9万円程度が相場です。年間収支に与える影響は小さくありませんが、今回のように将来的に300〜500万円の売却益が見込める物件であれば、十分にカバー可能です。
今後の資産形成の展望
小笠原さんは当初、老後まで物件を保有することで、家賃収入で月々の収入の安定化を図ろうと考えておられました。
ただ、ワンルームマンションはしっかり物件を選べば、5〜10年の保有で、300〜500万円の売却益(1,000万円近く出るケースもあります)が期待できます。さらに、同様の物件を複数所有することで、50歳になる頃には手元に1,000~2,000万円以上の現金資産を築くことも現実的です。
それだけの現金があれば、それを元手にキャッシュフローを生み出す投資ができますね。
上記の説明をしたところ、小笠原さんは中期保有による売却益の確保に目標を変更されました。
本記事を読まれた皆様へ
今回の相談のケースは、珍しくかなり優良な物件を提案されていました。よく物件のご相談を受けるのですが、感覚的に5件中4件は投資を見送るべき物件ですので、小笠原さんは運が良いと言えます。
ただ、同じ物件を保有するにしても、戦略が違えば出せる利益や取りうる選択肢に制限が生まれてしまいます。
不動産投資では物件選びはもちろん重要ですが、目標や戦略はもっと重要ですからね。
それでは本記事は以上となります。読者様の不動産投資がうまくいくことを祈っています。