みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」の進捗と課題・訴訟?|投資家が押さえるべきリスクとは

「ゲートウェイ成田」の名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

みんなで大家さんシリーズのひとつとして注目を集める大型プロジェクトですが、実際の進捗や投資環境については不透明な点も多く、不安を抱えている投資家も少なくありません。

本記事では、みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」の概要と現状を整理し、投資家が知っておくべき課題やリスクについて解説します。投資を検討している方はもちろん、すでに出資している方も今後の判断材料としてぜひ参考にしてください。

まーくん
まーくん
みんなで大家さんに出資したお金を取り戻そうとNPOや弁護士に相談した結果、100万円単位の着手金を求められるケースがあるそうです。着手金を払っても取り戻せる保証はありません。弁護士が儲かるだけです。傷口を広げず、お金を増やす方法はありますよ!

元不動産屋・現役サラリーマン投資家 田中

サラリーマン大家。新卒で中堅不動産投資会社に就職。 お客様第一ではない不動産会社のあり方に疑問を感じ、メーカーの営業職に転職。現在はコンサル会社に転職し不動産会社勤務の経験を生かして不動産会社の経営コンサルを行う。 地道に買い増しや売却益を活用し、現在17戸年間家賃収入1,010万円(ほぼ不労所得)。1,010万円を元手に投資信託や株を購入し、さらなる資産拡大に挑戦中。

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「みんなで大家さん」とは?

引用:みんなで大家さん

まずは「みんなで大家さん」がどのような投資商品なのか見ていきましょう。

「みんなで大家さん」は少額で始められる不動産投資商品として提供されており、ここでは基本的な以下の内容をお伝えしていきます。

  • 概要と仕組み
  • 注意点

概要と仕組み

「みんなで大家さん」は共生バンクグループの「都市綜研インベストファンド株式会社」が管理運営する不動産小口化商品で、不動産特定共同事業法にもとづいて運用されています。

不動産特定共同事業法:不動産特定共同事業の適正な運営や投資家の利益保護、不動産市場の健全な発展を目的とした法律

不動産特定共同事業:複数の投資家から資金を集めて不動産への投資・運用をおこない、その収益を投資家に分配する事業

マンションや商業施設など、高額な不動産を小口に分割して複数の投資家で共有しながら投資し、収益の分配を受ける仕組みです。

「みんなで大家さん」は原則1口100万円単位からの出資となっており、年6回の分配金を受け取れ、想定利回りは6.0~7.0%/年で運用しています。

募集総口数には限りがあるものの出資上限は設けられておらず、1~5口程度から始める人が多い傾向です。

注意点

みんなで大家さんには以下のような注意点もあります。

  • 元本保証はない
  • 分配金が変動する可能性がある
  • 中途解約に制限がある
  • 運営事業者が倒産する可能性は否定できない

みんなで大家さんを含む不動産小口化商品は少額投資ゆえ、低リスクといえども出資法によって元本保証が禁止されており、万が一のときは損失が出る可能性があります。出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律「(出資金の受入の制限)第一条」

また中途解約は可能ですが、解約手数料が発生するだけでなく、解約を希望する投資家が多発した場合は一時的に制限が設けられることもあります。

さらには万一倒産すれば、投資資金が返ってこない可能性も否定できません。

みんなで大家さんは「預金感覚で始められる」と謳われることもありますが、安易に始めるのではなく、リスクを理解したうえで余裕資金の範囲内でおこなうことが大切です。

まーくん
まーくん
不動産クラウドファンディング『ダイムラーファンド』を運営するダイムラー・コーポレーションが先日破綻しました。預金感覚で投資されている方も多い不動産クラウドファンディングですが、ゲートウェイ成田やダイムラーファンドの事例は、不動産クラファンのリスクを改めて浮き彫にする事例となったのではないでしょうか。

みんなで大家さんの「ゲートウェイ成田」は大規模な建設プロジェクト

ここからは、実際に投資対象となっている「ゲートウェイ成田」について見ていきましょう。

「ゲートウェイ成田」は、共生バンク株式会社が進める大規模複合開発プロジェクトです。成田空港のほど近く、東京ドーム約10個分にもなる広大な敷地を活用し、世界規模の施設建設を目指しています。

プロジェクトの概要

所在地千葉県成田市小菅
敷地面積約45.6万㎡
総延床面積約38万㎡(予定)
開業予定時期2027年3月に一部開業予定
主要建物
  • 商業複合施設
  • ランニングトラック
  • デジタルドーム
  • ホテル
  • 冷凍冷蔵貯蔵倉庫
  • フードテックR&D複合施設(国際展示場、国際会議場、キッチンスタジオを含む)
  • バスターミナル
  • 駐車場棟など

公式発表によれば、日本の食文化を海外に発信しつつ、音楽イベントや国際会議、展示会などを開催できる「世界に誇れる新拠点」として建設が進められるとされています。

メインとなる大型アリーナ「デジドーム」では、音楽イベントだけでなく、国際的な会議や企業の展示会場としても使えるよう設計されており、これまでにない新たな体験ができる施設として建設予定です。

2025年9月現在は、2026年12月までに一部施設の施工を進め、2027年春に商業複合施設とデジドームを開業するとして、スケジュールが発表されています。

みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」は何が問題?不安の大きい現状

ここまでで、計画自体は非常に大規模で魅力的に映ることが分かりました。しかし、実際の現場や投資家への説明、資金繰りなどを追っていくと、数多くの不安材料が浮かび上がっています。

主な問題点は以下のとおりです。

  • 工事がほとんど進んでおらず、現地も“ほぼ更地”?
  • 2024年6月に30日間の一部業務停止命令を受けた
  • 2025年7月末から配当金の支払いが遅延している

順番に見ていきましょう。

現地は今も“ほぼ更地”!?

ゲートウェイ成田は、工事の大幅な遅れはが指摘されていて、投資家の不安材料になっています。

そもそも、ゲートウェイ成田は2021年春頃開業予定でした。

しかし22年10月、23年10月と何度も延期され、結果的に2025年9月現在の情報では、「2027年3月に一部開業」と、すでに大幅な遅れが生じています。

本来であれば、工事の遅延に関する説明を投資家に対して詳細にすべきですが、そうした会は開催されたなかったとのこと。公式サイトの開業情報がいつの間にか書き換えられている点も、不安材料です。

工事の進捗状況は2024年8月時点で全体の2%程度との指摘もあり、、ほぼ進んでいないといえます。

さらに、後ほど詳しく解説しますが、ゲートウェイ成田の計画地の所有者は4割が成田国際空港株式会社(NAA)です。

この成田国際空港株式会社(NAA)との借地契約の期限が、2025年11月までであることも課題です。

期限で契約を切られてしまえば、すでに遅れている工事が全面停止される可能性まで生じることから、完成の見通しが明確に立っているとはいえないでしょう。

2024年6月には30日間の一部業務停止命令

みんなで大家さんを運用・販売している「都市綜研インベストファンド株式会社」は、2024年6月21日から30日間、大阪府と東京都から一部業務停止命令を受けました。

行政処分の理由は、大きく3つです。

  • 計画を大幅に変更しながら、資産価値や収益性への影響を投資家に十分説明しなかった
  • 開発許可の対象ではない土地への投資勧誘や契約を進めた
  • 契約成立前交付書面に、宅地造成工事完了後の形状や構造を記載すべきところ、工事完了前の形状を記載していた

これを受け、みんなで大家さんは利益分配金や出資の価額の評価に影響を及ぼすものではないとしながらも、2024年6月18日にこれまで可能だった中途解約の受付を一時的に停止すると発表。

さらに2024年6月19日にはみんなで大家さんの公式Webサイトで、すべてのファンド情報(商品一覧)が削除されていました。

その後、7月26日には中途解約の受付を再開しましたが、出資している投資家にとっては行政処分を受けた事実だけでなく、このときの対応も不安の募る出来事だったといえるでしょう。

2024年6月の行政処分は、「ゲートウェイ成田」プロジェクトの透明性や信頼性に関する根本的な問題を浮き彫りにするものとなりました。

資金不足による2025年7月末の配当遅延

みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」では、2025年7月末に予定されていた分配金の支払いが遅延しました。これも大きな不安材料です。

分配金遅延の原因には、テナントからの賃料が2025年4月以降支払われていないことが挙げられており、投資家へ通知が来たのは分配金が支払われるはずの7月31日でした。

その後8月9日に都市綜研インベストファンド株式会社の栁瀨社長が物件売却、もしくは担保提供による資金調達を進めると主張していたものの、7月に続き8月分の配当も結果的に支払われていません。

投資家のなかには数百万から数千万円投資した人もおり、解約を申し込んでも1年以上書類さえ届かないと語る人もいます。

この事態を受け、2025年9月からは投資家有志による集団提訴の動きも始まり、ゲートウェイ成田プロジェクトは法的なトラブルに発展しつつあります。

みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」の実現はかなり厳しい

ここまでの問題点を踏まえたうえで、以下のような複数の課題もあることから、みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」の実現はかなり厳しい状況です。

  • インフラが未整備
  • 国道との接続ルートがない
  • 建設予定のホテルは高さ制限で建築困難
  • 土地の所有者は半分近くが成田空港株式会社

順番に解説します。

インフラが未整備

ゲートウェイ成田は現状、水道やガス・電気・通信といったインフラが未整備です。

この事実は共生バンクが千葉県知事に提出した報告書にも明記されており、道路工事の段階でインフラはすべて埋没されている必要があるものの、1つも整備されていません。

とくにゲートウェイ成田は複数のホテルが建設される予定であり、一般的な建物と比べて非常に多くの水を使用します。

300mmクラスの比較的大口径な水道排水管や本管を、ゲートウェイ成田まで引く必要がある一方で、水道工事は成田市の公共工事です。

市営の水道を使うことから、成田市が設計を依頼して工事を発注すべきところ、事業社である共生バンクとどのような費用負担で進めるのか、協議すらおこなえていない状況です。

さらに、ゲートウェイ成田には下水道もありません。

計画上は個別の合併浄化槽で処理する予定となっているものの、本来何百人~何千人程度の生活排水の浄化を目安とした小規模な処理施設のため、現実的ではないでしょう。

このようにもっとも基本的なインフラが手つかずであり、成田市との協議すら始まっていない状況では、建物を建てること自体が不可能です。

全体の設計計画が前に進み、建築計画が具体化しなければ進捗率2%から進まないということになります。

国道との接続ルートがない

ゲートウェイ成田には、国道から敷地に直接入るルートがありません。

交差点協議がおこなわれた形跡は残っていますが実行されず、専用許可も期限切れです。

専用許可:道路に水道管やガス管などを設けるときに道路空間を使用するための許可

専用許可は千葉県・成田市・千葉県警の三者協議をしなければ再取得できませんが、数年の月日ですでに交通事情が大きく変化しており、道路の設計自体を見直す必要があるため簡単ではないでしょう。

さらにいえば、年間1,000万人の来場を見込んでいるゲートウェイ成田ですが、出入り口を一本でまかなうこと自体がそもそも根本的に不可能といえます。

共生バンクはすでに別の50ヘクタールの場所での開発に方針転換し、本来予定していた土地での開発は事実上断念している状況です。

新たなファンドで資金調達を開始していることもわかっており、実質的には当初の計画から撤退もしくは”逃げ切り”のような対応といえるでしょう。

ホテルは高さ制限のある場所へ建設予定

ゲートウェイ成田に建設予定のホテルは、航空法により高さ制限が86mに設定されている場所への設置計画となっています。

20階建て1,000室以上のホテルを建設予定ですが、高さ制限を考慮すると極めて難しい構想といえます。

さらに2029年に完成予定のショッピングモールや、温泉施設については詳細な計画が提示されておらず、白紙状態です。

それゆえ、ゲートウェイ成田の建物に関する計画は事実上建設不可能、もしくは撤回されている可能性が高いでしょう。

土地の所有者は半分近くが成田空港株式会社(NAA)

ゲートウェイ成田を計画する土地すべてが共生バンクや、そのグループ会社が所有したうえで、工事を進めていると考えている投資家の方がほとんどでしょう。

しかしゲートウェイ成田の計画地は複数の事業社が所有しており、半分近くが成田空港株式会社(NAA)です。

ゲートウェイ成田の計画地は、合計585筆の土地から成り立っています。その内訳は以下のとおりです。

ゲートウェイ成田の土地所有構造(全585筆)

所有者筆数割合(概算)
成田空港株式会社(NAA)
(国が100%出資する会社)
264筆約45%
共生バンクグループ216筆約37%
成田市87筆約15%
地元企業18筆約3%

つまり、共生バンクが所有しているのは全体の約3割強に過ぎず、半分近くは国が出資するNAAの土地です。そのほかにも、複数の事業社がゲートウェイ成田の計画地に点在しています。

土地の所有構造が隠されたまま、資金募集がおこなわれたことは重大な問題点といえるでしょう。

ほかにも重視すべきこととして、NAAの土地は税金で取得されており、本来であれば空港に関する用途が使用目的でなければなりません。

しかしゲートウェイ成田という民間開発に使われており、国土交通省がどこまで把握しているかも不明な状況です。

投資家には土地構造が正しく説明されておらず、半分近くが国有地という法的・制度的にも極めて問題の多い構造が、ゲートウェイ成田の実現を難しいものとしています。

みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」は解約できる?

ここまでで、みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」の実現は非常に厳しいものと考えられることが明らかになってきました。

なかには解約(譲渡手続き)を考える方もいるかもしれませんが、実際のところできるのでしょうか。

みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」の解約については2024年6月17日に一部業務停止命令を受けたのち、6月18日に一時的に停止しました。

しかし、みんなで大家さんの公式サイト「譲渡手続きの再開について」にて、7月29日から再開している旨が記載されています。

公式サイトによると、解約の概要は以下の通りです。

  • 手続き:申請順に対応し、月次予算に合わせて対象者へ譲渡契約書類を郵送
  • 解約手数料:出資額の3.3%
  • ひと月あたりの譲渡金額予算:最低5億円以上
  • すべての譲渡に応じるための目安期間:6〜12ヶ月

「手数料3.3%は引かれてしまったものの無事に解約できた」という声もある一方で、「1年以上譲渡契約書類すら届いていない」というケースも多数見受けられるため、必ずしもスムーズに進むとは限りません。

さらに2025年7月末より配当金が遅延している状況から、今後も解約希望者が増えることが予想されます。

解約手続きには時間がかかる可能性が高く、必ず返金されるかも不透明な状況といえるでしょう。

みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」のまとめ

本記事ではみんなで大家さん「ゲートウェイ成田」について、概要から現状、実現の見通しまで解説しました。

みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」は1口100万円から不動産投資を始められ、6.0~7.0%の高利回りかつ年6回配当のある、一見魅力的に思える投資商品です。

しかし現実には、

  • 開業延期の繰り返し
  • 工事進捗はごくわずか
  • 行政処分を受けた経緯
  • 2025年夏以降の配当遅延
  • 解約手続きの停滞

といった問題が次々に表面化しており、投資家の不安は高まっています。

また、土地の所有構造やインフラ未整備といった根本的な課題も残されており、「ゲートウェイ成田」の実現性はかなり厳しい といえるでしょう。

「解約できる」とはされているものの、実際には時間がかかったり、返金が不透明であったりと安心はできません。もし投資を検討している方は、十分にリスクを理解したうえで慎重に判断してください。

またそもそもですが、不動産クラウドファンディング自体、ローンが活用できないため大きな資産形成には不向きという側面もあります。投資方法に悩んでいる方は、LINEでも相談に乗っていますので、お気軽にご相談ください。

みんなで大家さん「ゲートウェイ成田」に出資している方へ

・配当が遅れているけど、このままで大丈夫なのか?
・工事が全然進んでいないけど、完成の見通しはあるのか?
・行政処分を受けたって聞いたけど、投資資金は戻ってくるの?
・解約の手続きを申し込んだけど、全然進まない…どうしたら?
・他の不動産小口化商品と比べて、本当に投資する価値はあるのか?
・出資金が戻らないリスクを少しでも減らしたい!

などなど、ゲートウェイ成田や不動産投資全般に関する不安・疑問はいつでもLINEで聞いてください!
不動産会社に勤めていた、おせっかい好きの田中があなたのお役に立てれば幸いです笑。
業者さんでは言えない真実をお伝えします!

田中(現在17戸年間家賃収入1,010万円)の詳細な物件情報や投資実績(売却実績)はコチラ