昨今の投資ブームの流れに乗り、若いサラリーマンを中心として人気が高まりつつある不動産投資!
投資にはなにかとリスクが付きものですが、不動産投資においては空室リスクが代表的なリスクのひとつとして挙げられます。
そんな空室リスクを軽減するため、”サブリース”を検討する方も少なくないでしょう。
サブリースとは一括借り上げ、家賃保証制度のことを指し不動産会社がオーナーから賃貸物件を借り上げ、借りたいと思っている人に貸出を行うサービスのこと。
一見、オーナーにとって安定した賃貸経営を可能にさせる魅力的なサービスに思えるかもしれません。
ですが、実は業者しか儲からない仕組みになっていることをご存じでしょうか。
今回は不動産投資においてサブリースが不要である理由について、まとめてみました。
サブリース契約を逆手に取って美味しい物件を買う方法もあるのでそれもお教えします。
不動産投資のサブリースとは
先述したように、サブリースとは家賃保証サービスのこと。
家賃保証だけでなく、物件の管理や入退去に関する手続き、家賃の集金業務などといった各種管理業務についてもサブリース会社が代行して行ってくれます。
サブリース会社に支払う手数料は一般的に賃料の10~20%が相場となっており、仮に10万円の家賃であれば約8~9万円がオーナーに振り込まれることになります。
サブリースではなく通常の賃貸管理契約であれば管理委託手数料が5%前後で済むことを考えると、非常に高額な手数料が必要となることがわかるでしょう。
結論からいってサブリース契約は業者側が圧倒的に有利な契約といえます。
一般管理とサブリースにおける比較事項について下図で簡単にまとめていますので、参考にしてみてください。
項目 | 一般管理 | サブリース |
手数料 | 賃料の3%~5% | 賃料の10~20% |
賃料設定 | 自分でできる | 2年ごとに見直される(大体下がる) |
入居者情報 | 把握できる (入居者と賃貸借契約を結ぶため) | 把握できない (サブリース会社と賃貸借契約を結ぶため) |
解約違約金 | – | 1年分の手数料が平均的 中には家賃2年分の手数料やそもそも解約できないという悪質なケースもある |
不動産投資サブリースのメリット
サブリース契約では手数料が高額であると述べましたが、その傍らいくつかのメリットも存在します。
不動産投資サブリースにおける代表的なメリットは次の4つ。
- 家賃が保証される
- 入居者トラブルにおいて訴訟の当事者とならない
- 安定した賃貸経営計画を建てられる
- 賃貸管理コストを削減できる
さっそくひとつずつ見ていきましょう。
家賃が保証される
サブリース契約は一括借り上げであることから、サブリース会社から支払われる賃料に空室や滞納といった概念は実質存在しないことになります。
そのため、自身で経営する場合に生じる恐れがある空室リスクや滞納リスクといった問題を回避できることに繋がるでしょう。
特に滞納リスクにおいては多くのケースで人的トラブルを伴うこともあり、減収に影響するだけでなく心身的にもかなりの負担が生じます。
サブリース会社に運営を任せることによって、それらのリスクを回避できることはメリットのひとつといえますね。
入居者トラブルにおいて訴訟の当事者とならない
先ほど触れた賃料の滞納におけるトラブルをはじめ、退去においてもなにかと問題が起こることは珍しくありません。
話し合いでうまく収まればいいものの、場合によっては訴訟が必要になってしまうことも。
その際にサブリース契約を締結していれば入居者にとっての物件オーナーがサブリース会社となることから、物件の所有者であるあなたが訴訟の当事者になることはありません。
安定した賃貸経営計画を立てられる
サブリース契約を結ぶことで収支管理が一元化され、一目で現状を把握することができるようになります。
それに伴い、確定申告が簡素化されることもメリットの一つでしょう。
オーナーが個人で運営管理をするとなると入居者の家賃管理はもちろん、入退去における費用の計上をはじめ様々な計算を行わなければなりません。
そのため、通常の賃貸経営では別途費用を支払って税理士に確定申告を依頼することがほとんどです。
サブリースであれば、収支管理がいたってシンプルに済むことから税理士に依頼せずとも、自身で確定申告を行うことができます。
賃貸管理コストを削減できる
サブリース契約を結ぶことで、物件の管理や入退去に関する諸々の手続きはもちろん家賃の集金業務についてもサブリース会社が代行して引き受けてくれます。
そのため煩雑な業務を自身で行う手間がなくなり、オーナーが本業である仕事に専念することができる環境を生み出すことができるでしょう。
不動産投資サブリースのデメリット
メリットについて把握したところで、デメリットも押さえておきましょう。
ここで取り上げるデメリットは以下の3つです。
- 家賃設定が自身でできず、下落することが多い
- 自身の判断のみでサブリース契約を解約することができない
- 法外な解約手数料を取られる場合がある
家賃設定が自身でできず、下落することが多い
オーナーが運営している場合には家賃の増減額を自身でコントロールすることができますが、サブリース契約を締結している場合にはそういうわけにいきません。
管理会社は空室をなるべく避けるために、空室が出たタイミングで家賃を下げて入居者をつけることが多いです。そして家賃が下がるわけですからオーナーの収支が下がってしまうのです。
そのため当初の賃料設定が続くことはほとんどないに等しく、オーナーが損をしてしまうことが多くなっています。
自身の判断のみでサブリース契約を解除することができない
サブリース契約を締結したあとで、状況によってはサブリース契約を解除して一般管理に切り替えたいと思うこともあるかもしれません。
ですが、サブリース契約をすんなりと解約できると思ったらそれは大きな間違いです。
この契約は基本的にオーナーとサブリース会社との間で結ばれた賃貸借契約であることから、借地借家法により借主であるサブリース会社が保護の対象となります。
よって「サブリース会社と相性が合わない」「一般管理に切り替えたい」といったオーナー都合の理由でサブリース契約を解除することは認められず、契約を解除するためには正当な理由に加えてサブリース会社の合意が必要です。
法外な解約手数料を取られる場合がある
契約上、仮に中途解約が認められていたとしても高額な違約金が発生するケースがあります。
そのため、契約時には解除における事項について十分に確認しておくことが大切です。
サブリース契約のメリットに惹かれて安易な気持ちで契約を締結しないように気を付けましょう。
不動産投資サブリースのよくあるトラブル
先に触れたようにサブリース契約にはいくつかのリスクが存在します。
ここではサブリース契約でよくあるトラブルについて、いくつかピックアップしてみました。
家賃の引き下げにより利回りが下がる
サブリース会社の考え方として、いつまでも空室を残しておくぐらいならば家賃を下げてでも入居者を確保しようとするでしょう。
そのため入居者が交代するときに家賃を下げるケースが数多く散見され、結果として全体の収益性が下落することに繋がります。
全体の収益性が下落すればするほどローン残債との乖離が大きくなって月々の支払いが重くなり、そのことに起因するトラブルが後を絶ちません。
入居者情報を把握できない
サブリース会社が入居者と賃貸借契約を結ぶことから、入居者の審査や選定はサブリース会社が行うことになります。
また、入居者の情報をサブリース会社がオーナーに伝える決まりがあるわけではありません。
そのため、オーナーであるにも関わらず所有物件にどんな人が済んでいるのか把握することができないといったことに。
入居者情報の開示におけるトラブルを避けるためにも、契約時にきちんと入居者情報を報告する旨の項目を定めておくようにしましょう。
割高物件を購入させる口実に使われる
これは本当に悪質なケースですが、まず不動産会社が相場よりも高い家賃設定をすることで物件価格を引き上げます。物件の価格は設定家賃で決まり、、8万円の家賃と10万円の家賃の物件では価格が1,000万円近く変わってきます。
購入者は素人ですから、1,000万円高くても気づきません。そこに不動産会社から『サブリースだから安心です。35年間家賃が保証されます』と囁かれ、購入してしまうのです。もちろん 35年続くケースはまれで、普通は2年更新で家賃もどんどん下げられる契約なので、営業マンの行っていることは机上の空論です。
結果としてこのケースであれば、最初の2年はサブリースが続きますが、そこで家賃が10万円から相場の8万円に引き下げられ、購入者はただただ高い物件を買わされるだけの結果となってしまいます。
オーナーからすれば収益性が大幅に落ち込むことに。
そのため、家賃相場よりも割高な賃料を設定された場合には注意が必要です。
サブリース契約がいらない3つの理由
サブリース契約におけるメリットやデメリットを把握したところで、ここではサブリースがいらない理由についてお伝えします。
ワンルームマンションは入居率95%!
東京都内であれば、一般的にワンルームマンションの入居率は平均95%に達すると言われています。
つまり、空室率は5%であると言い換えることができますね。
日数に直しても365日×5%で18日間となり、2年間で約一か月ほどの日数になります。
一か月の空室期間と聞くと少し不安を覚える方もいるかもしれませんが、都内ワンルームマンションにおいてはこの空室期間は礼金で十分賄える額といえるでしょう。
むしろ一か月というのは退去、清掃、入居にかかる一般的案期間であり、2年間で空室期間が1か月で済むのは優秀だといえるかもしれません。
地方マンションでもサブリースはいらない
都内ではないにしても、大阪や名古屋といった地方都市の物件においてもサブリースは不要です。
入居率95%とまではいかないかもしれないものの入居率は一定水準を保っており、手数料を考慮するとサブリースを組まずにやりくりすることをおすすめします。
仮にサブリースの手数料を20%とすると、家賃が8万円だと仮定した場合に2年間でかかる手数料の総額は約38.5万円と5か月分の家賃に相当します。
そのため2年で5か月以上も空室が発生するならともかく、そもそも2年間で5か月も空室が発生するような物件に目を付けること自体が間違っているといえるでしょう。
サブリースは業者が儲けるための仕組み
これはサブリースに限った話ではありませんが、基本的にどんなサービスでも業者が儲かるような仕組みになっています。
そのため「家賃保証」といった言葉についつい目が行ってしまいがちですが、それ相応のリスクがあることは念頭に置いたうえで利用するかどうか今一度よく検討するようにしましょう。
サブリースにもメリットあり
最後に、サブリースをすることでメリットを教授できるパターンの2つご紹介します。
5部屋以上保有ならサブリースはアリ!
それはずばり、ワンルームマンションを5部屋以上持っている場合です。
5部屋以上所有すると管理が非常に大変になるだけでなく、確定申告も非常に
複雑なものになってくることはいうまでもありません。
そのため本業を別とするサラリーマンにとっては、手が回らない自体になってしまうこともあるでしょう。
その際にある程度のリスクを覚悟のうえで、サブリースを利用することは選択肢の一つとしてありだといえます。
中古でサブリース物件を購入する
サブリース物件は中古になると新築時とは異なり、銀行の評価が悪くなります。
言い換えればローン評価が出ないので相場よりも安くなるケースがあります。
そのため、セミプロは中古で敢えてサブリース物件を狙って購入し、管理更新のタイミングでサブリースを解約します。予め解約時の手数料がかかることは想定しての購入なので解約手数料が発生しても問題ないわけです。
それよりも安く購入したほうがいいですからね。
相場がわかっていれば、中古のサブリース物件を敢えて購入することもおすすめです!
サブリース契約を締結する前の注意点とは
サブリースを利用するにあたって、「契約書」の中身をきちんと確認しておくことは欠かせません。
ここでは契約書における主なチェック項目について、簡潔にまとめてみました。
- 免責期間:通常は1~2カ月ですが、まれに6カ月などといった長すぎる期間を設定しているケースも。空室となるたびにその期間の賃料が入ってこなくなることから最低でも1カ月以内で押さえたいところです。
- 会社が信用できるか:サブリース会社が信用に値する会社かどうかもきちんと見極めるようにしましょう。万が一会社が倒産してしまうと、サブリース会社が預かっている敷金等が満額回収できない恐れがあります。
- 解約条件:解約にかかる条件はもちろんのこと、通知に必要な期間が十分に設けられているか、解約手数料は高額でないかについて確認しましょう。
- 保証家賃および支払日:サブリース賃料の支払日や支払額の算定条件について、しっかり把握しておくことが大切です。もしサブリース会社が受け取る家賃がを上回る家賃保証がうたわれている場合には、なぜそのような家賃保証が可能になるのか納得がいくまで確認をとることが大切です。
いずれの契約事項においても面倒くさいからとサブリース会社任せにするのではなく、すこし時間をもらってでもあなた自身の目で隅々まで確認するようにしてください。
まとめ
今回は不動産投資サブリースのメリットやデメリットをはじめ、利用すべきかどうかの判断基準についてお伝えしました。
10件以上の物件を所持している場合はともかく、数件であればサブリースを利用するメリットはほぼないといえます。
サブリースを検討する時間をしっかりとした物件を見極めることに割いたほうが有益です。
あなたにとって本当に必要なものなのかどうかじっくり考えたうえで、正しい理解のもとにサービスを利用するようにしてくださいね。