昨今、サラリーマンを中心に人気が高まりつつある不動産投資。
不動産投資は節税や老後の年金対策に役立つことはもちろん、万が一の際には生命保険の代わりとして利用できるといったメリットもあることから興味を抱く人も多いのではないでしょうか。
とはいえ不動産投資に馴染みがない人にとって、不動産投資に対する頭金がいくらかかるのか気になるもの。
そこで今回は、ワンルームマンション投資に必要な初期費用はどれほどなのかといったことについて、わかりやすくまとめてみました。
不動産投資にかかる初期費用の内訳とは
投資用のワンルームマンションを購入するにあたって、当然ながらそこには様々な費用が発生します。
もちろん、購入した物件の価格に応じて費用は多少変わってきますが、内訳としてどのような項目が含まれているのか確認していきましょう。
具体的には次のような費用がかかります。
- 不動産登記費用(登録免許税・司法書士依頼手数料)
- 印紙税
- 保証会社保証料
- 手数料
不動産登記費用
不動産を購入し、所有する際には法務局にて登記申請を行う必要があります。
その登記をするために必要な手続きに対して払う費用が不動産登記費用であり、主に「登録免許税」と「司法書士依頼手数料」の2つに分けられます。
不動産の登記自体は司法書士を介さずに自分自身で行うこともできますが、かなりの手間と労力がかかることから、一般的には司法書士に手続きを依頼するケースがほとんどです。
また、あまりないケースではありますが、取得した建物の一部あるいはすべてが「未登記」の状態となっている場合においては、土地家屋調査士等に依頼をして表題部に関する登記をすることもあるので頭の片隅に置いておいてください。
登録免許税
先述したように、不動産を購入した場合には該当物件に購入者の所有権を登記します。
登記を備えることで、「この不動産はたしかに私が所有しているものです」と対外的に示すことができ、登記手続きの際に国に納める税金こそが登録免許税です。
登記手続きですが、不動産を不動産投資ローンで購入した場合には、融資を行う金融機関が抵当権の設定登記を行います。
これは万が一、ローンの返済が滞ってしまった場合には、当該不動産が競売にかけられ、融資をした金融機関が優先的に弁済を受けることを明らかにするために必要な登記です。
抵当権設定登記にかかる税率は以下のように設定されており、課税標準は金融機関からの借入金額(債権額)となっています。
抵当権設定登記にかかる登録免許税:借入額(債権額) × 0.04%
司法書士依頼手数料
司法書士に依頼せずとも個人で登記申請を行うことができるとはいえ、基本的には依頼するケースがほとんどです。
そのため、司法書士に依頼する場合には登録免許税の他に、司法書士依頼手数料(登記手続きや登録免許税納付の代行料として)が発生します。
司法書士へ支払う報酬額は各司法書士事務所によって異なるものの、3万円から5万円ほどで引き受けてもらえるでしょう。
依頼する前に、複数の事務所を比較検討することをおすすめします。
印紙税
不動産を取得する際の売買契約書や、ローンを組む際の契約書を紙面でやり取りする場合、そこには印紙税といった税金がかかります。
印紙税の金額は印紙税法によって、以下のように定められています。
契約金額 | 税額 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 60,000円 |
保証会社保証料
不動産投資を行うにあたっては、多額のお金を金融機関から借り入れることになります。
金融機関からしたら、借り手に万が一のことがあって貸し倒れのような状態になってしまっては元も子もないですよね。
そこで金融機関はお金の借り手に対し、保証会社を間に挟むことを融資の条件としているケースが多く見受けられます。
そしてその保証会社を立てる際に、かかる費用こそが保証会社保証料です。
不動産投資ローンの借入時に一括して保証料を支払う場合、保証料の目安は借入額の2%程度ですね。
手数料
不動産投資にかかる手数料として、以下の手数料がかかってきます。
- 不動産仲介手数料
- 不動産投資ローン事務手数料
不動産仲介手数料とは、不動産仲介会社を利用して中古マンションを購入した際に発生する手数料です。(新築を購入する場合は発生しません)
仲介手数料の上限は税込みの売買価格に応じて定められていますが、あくまで上限額が決まっているだけで実際の手数料額は不動産会社によって異なります。
仲介手数料の高い・安いだけで判断するのではなく、全体的なサービスをきちんと把握したうえで利用する仲介会社を決めるようにしましょう。
一方、不動産投資ローン事務手数料は主に住宅ローン申し込み時の手続きにかかるものであり、金融機関や借入金額によって金額が異なります。
定額制と、ローンの総額に対して手数料がかかる定率制がありますが、定額制の場合は約3~6万円ほどと考えておいて下さい。
初年度コストの一例を見てみよう
例として、2,000万円の物件を購入した場合における、初年度のコストは以下のようになります。
登録免許税 | 80,000円 |
司法書士手数料 | 50,000円 |
保証料 | 400,000円 |
手数料 | 60,000円 |
印紙代 | 20,000円 |
初年度コスト総額 | 610,000円 |
ここに頭金が必要な場合はいくらか乗ることになりますね。
初年度コストの大半は経費として計上できる
不動産投資をするうえで、不動産所得にかかる所得税を心配されている方も多いかもしれません。
不動産所得にかかる所得税は、「不動産総収入-経費」で算出された金額に対して課税されますが、初年度においては上記で挙げた初期コストを費用として計上することができます。
そのため、結果として所得税の節税に繋げることができることを頭の片隅に置いておきましょう。
なお、次年度以降も物件の減価償却費やローン利息、固定資産税などを継続して経費に計上することができます。
節税についてはこちらの記事に詳しく載せています。
初期費用以外に自己資金もいくらか準備しておこう
2,000万円で物件を購入した場合の初期費用について参考値を載せましたが、最低でもこの金額だけ準備しておけば大丈夫だろうといった考え方はキケンです。
物件の購入後に思わぬことから、出費がかさんでしまい、運用が苦しくなってしまうケースも珍しいことではないのです。
そのため、諸費用の他に不測の事態に備えるための自己資金をいくらか準備しておくようにしましょう。
物件の修繕・補修費用も頭に入れておこう
不動産投資を成功させるためには、空室をいかに少なく済ませるかにかかっているといっても過言ではありません。
空室は立地の影響がほぼ8割りですから、購入前に賃貸需要を確認しましょう!
とはいえ、物件を購入してからメンテナンスをせず管理や修繕を疎かにしてしまうと物件の資産価値自体が下がってしまい、入居率に悪影響を及ぼしてしまう恐れがありますね。
ワンルームマンションには専有部分と共有部分があります。
- 専有部分:購入したワンルーム
- 共有部分:バルコニーや廊下、エレベーター給排水設備など
専有部分については常に最新の設備に維持し続ける必要はありませんが、点検や修繕・補修といったメンテナンスを定期的に行うことで、空室リスクを大幅に低減させることができます。
こういったリスクは基本は毎月少額ずつ積み立てていれば全く問題ありません。
また不動産会社によっては建物管理会社が無償でケアしてくれるケースもありますから、
安心ですね!
共有部分についても毎月の支払いの中に含まれていますから、そこまで気にしなくても大丈夫です。
専有部分の修繕義務について
さて、不動産投資において
オーナーは専有部分の修繕義務を負うことが義務なのか
義務であるならばどこまで責任を負うのか
といった疑問を抱いている方も多いかもしれません。
そもそも不動産投資とは、「貸主(オーナー)が物件を借主に貸し、その対価として家賃を得る」といった投資方法のことを指します。
民法606条において、
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う
と定められており、原則として修繕義務は賃貸人であるオーナーにあると考えるのが通例です。
とはいえ、法律では「どの範囲までオーナーが責任を負うのか」といったことが明文化されておらず、賃貸借契約締結時に修繕に関する特約を結ぶことで、その線引きを定めることができます。
また、賃貸借契約の本質は「建物を適切に使用収益させること」であることから、建物の基礎となる屋根や壁、柱や床といった構造部分のほか、キッチンや風呂、トイレといった生活に欠かせない設備についてはオーナーに修繕義務があります。
トラブル防止といった観点では、修繕が必要となった主原因が賃借人にある場合には、「修繕費用は賃借人が負担する」といった特約を定めておくとよいかもしれません。
共有部分には「修繕積立金」がある
投資用ワンルームマンションを購入した場合、いつどのような修繕が必要となり大体どのぐらいの金額がかかるのかという指針を示した修繕計画を不動産管理会社から提示されることがほとんどです。
その修繕計画に基づき、「修繕積立金」を毎月一定額不動産管理会社に納めることになるでしょう。
「修繕積立金」とはその名の通り、将来必要となるであろう修繕に備えるために前々から積み立てておく資金のことを指し、毎月5,000円~10,000円ほど支払うケースが多くなっています。
修繕費や修繕積立金も経費として計上できる
先ほど、所得税を節税するうえで経費計上が大切だと述べましたが、所有物件にかかる修繕費や修繕積立金も当然ながら経費として計上することができます。
修繕費や修繕積立金は実際に修繕が行われ、完了した日の年分として費用計上できる支出ですが、一定の条件を満たすことで支払いをした年分の費用に計上することが可能です。
このあたりについては国税庁の公式HPに詳しく記載がありますので、該当がある場合には前もって適用条件等を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は、ワンルームマンション投資に必要な初期費用はどれほどなのかといったことについて、わかりやすくまとめてみました。
結局不動産屋さんがこのあたりはしっかり説明してくれますし、修繕費用についても案内してくれるはずです。
なので過度な心配は必要ありませんが、最低限「こういった項目のお金がかかる」くらいは把握しておきましょう。
それではまた!