「サブリース契約をした不動産の契約破棄をしたいけど難しいと聞いた・・・」
「弁護士に頼めばどうにかならないだろうか?」
空室にかかわらず家賃収入が得られるサブリース契約ですが、想定していた収益が得られず、月々の手出しの多さ、一方的な家賃の減額などをきっかけに解約を検討する方は多いでしょう。
しかしサブリース契約は、オーナー側からの解約が非常に難しく、弁護士への依頼を視野に入れる方もいるかと思います。
本記事ではサブリース契約を解約する一般的な流れを解説するとともに、なぜオーナー側からの解約が難しいのか、弁護士に依頼すれば解決できるのか、そして弁護士に依頼するリスクについても解説しますので、ぜひご覧ください。
一般的なサブリース解約の流れ
はじめに、一般的なサブリース解約の流れについてお伝えしていきます。
契約書面を確かめる
サブリースの解約を検討する際は、まず契約書面を確かめましょう。解約にあたっては、特に以下の項目が重要です。
- 契約期間
- 解約予告期限
- 違約金の有無・金額
このほか、修繕工事費用の負担割合や、契約違反による取り決めについて記載があれば、合わせて把握しておきましょう。
内容証明郵便で解約通知書を送る
契約書面で解約条項を確認できたら、サブリース会社へ内容証明郵便で解約通知書を送ります。
内容証明郵便とは、以下の内容を郵便局が公的に証明する郵便制度で、確実に通知を送った証拠となります。
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通常の郵便物として送ると相手が受け取ったことを証明できません。
解約通知書に決められたフォーマットはありませんが、送る際は以下の内容を確実に記載する必要があります。
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各記載項目のうち、「解約の根拠となる条文」については、以下のように「サブリース契約書第〇条(解約の申し入れ)に基づく」というような一文を入れておくとわかりやすいです。
出典:公益社団法人 全日本不動産協会「貸室賃貸借契約(サブリース)終了についての通知」
「正当事由」には、以下に該当するものを記載します。
- オーナー本人や親族などが物件を使用する必要がある
- 生計維持や再開発事業などで物件を売却する必要がある
- 老朽化でやむを得ず取り壊す必要がある
サブリース会社と交渉する
解約通知書がサブリース会社に届いたら、解約に応じるのか対応を待ちます。
サブリース会社が合意すれば、事前に定めた期日をもって解約となり、物件の明け渡しや鍵の返還などが行なわれます。
サブリースの解約が難しい理由
サブリースの解約が難しい理由について、さらに詳しく見ていきましょう。
借地借家法により借主(サブリース会社)の立場が強い
サブリース契約では、オーナーを貸主、サブリース会社を借主とする「賃貸契約」を結びます。賃貸契約には、主に借主を保護することを目的とした法律、借地借家法が適用されます。これはもともと、貸主に比べて借主の立場が弱くなりやすいという立場の差を埋めるために作られた法律です。
しかしサブリース契約では、個人投資家が貸主となり、専門性や知見の面で強みをもつ不動産会社が借主となるため、借地借家法の後押しもあって、サブリース会社が非常に有利になってしまいます。
解約において具体的に関係してくるのは、借地借家法の下記の条文です。
借地借家法の条文 | 詳細 |
借地借家法27条 | オーナー側から借家契約を終了させるには、申し入れから6か月を経過しなければならない |
借地借家法28条 | オーナー側からの解約の申し入れは「正当事由」が認められなければならない |
今すぐ解約したいと考えて申し入れても少なくとも6か月は待つ必要があり、たとえ解約のために正当事由を述べても、必ずしも認められるとは限りません。正当事由が認められるか否かは、オーナー側に借主よりも必要性の高い事情があり、かつ物件の利用状況や現況などについても総合的に加味して判断されます。
法律もサブリース会社の味方をするため、サブリースの解約は難しいのです。
多額の違約金や立ち退き料がかかる
サブリース会社が解約に同意したとしても、解約のために高額な違約金や立ち退き料の支払いが必要となるのが一般的です。
違約金や立ち退き料は、安くとも賃料の6~12か月分程度、その数倍となることも珍しくありません。仮に賃料10万円の物件であれば、違約金はざっと数百万円になることが予想されます。
すでに物件のキャッシュフローが赤字で手出しが出ているような経営状況の場合、まとまった資金の用意も難しいでしょう。そのため、サブリースを解約したくてもできず、持っていても損が膨らむばかりの物件を持ち続けざるを得ないオーナーが多くいるのです。
サブリースの解約に必要な正当事由とは
サブリースの解約に必要な正当事由についても、詳しく見ておきましょう。
オーナー本人や親族などが物件を使用する
オーナー本人や親族などが物件を使用する場合は、正当事由として申し出られます。仕事で海外に住んでいたが帰国しなければならず、急遽物件の明け渡しが必要になったというような諸事情があれば、正当事由として認められやすいでしょう。
ただしオーナー本人が物件を使用する場合と比較して、親族の場合は正当事由と主張しても物件の必要度が低くなります。 そのため、多額の立ち退き料を支払わなければ、解約の合意を得にくいでしょう。
生計維持や再開発事業などで物件の売却が必要である
生計維持や再開発事業などで物件の売却が必要な場合も、正当事由として主張できます。
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不動産投資では、物件の建築費や購入費のローンを組むケースがほとんどで、もちろんはじめは問題なく返済できる見込みで返済計画を立てます。しかしサブリース契約ではオーナーが一定の賃料をもらえるものの、定期的に見直され、当初より減ってしまうのが現実です。
修繕費や維持費などが収入を上回り、収益が予定より少なくローン返済ができない、という状況に陥るケースも珍しくありません。
またオーナーに過失がなくても、行政がおこなう区画整理事業や道路の拡幅工事などによって物件の明け渡しを要求され、不動産投資を続けられないケースもあります。生活に支障をきたしていたり、オーナーには対処しようもない事情であったりすれば、正当事由として認めてもらえる可能性が高いでしょう。
老朽化でやむを得ず取り壊さなければならない
物件の老朽化によって取り壊しが必要な場合は、正当事由として認められる可能性が高いです。「老朽化」というと抽象的ですが、一般的には「耐震基準」を満たしているか否かがひとつの判断基準です。
現在適用されている「新耐震基準」は、1981年6月1日に施行され、震度6強~7程度の地震でも建物が倒壊しないほどの厳しい基準が設けられています。しかし「新耐震基準」を満たさない1981年以前に建てられた物件は、震度5強程度までの地震しか想定されていません。
そのため、震度6以上の大きな地震が起これば倒壊するリスクがあり、入居者の命や健康を脅かすことが想定されます。「新耐震基準」を満たさない老朽化した建物に関しては、危険性の高さから取り壊すために、サブリース契約を解約する正当事由に該当します。
正当事由のないサブリース解約は弁護士に依頼しても無駄
ここからは、サブリースの解約を弁護士に依頼する意味はあるのかという点について、詳細をお伝えしていきます。
良識のある弁護士はそもそも依頼を受けない
サブリースの解約は正当事由がなければ成立することはなく、正当事由がない場合、良識のある弁護士はそもそも依頼を受けません。
たとえば、令和元年11月26日の東京地裁における判例を見てみましょう。
オーナー側は相続対策として納税資金を捻出したいと正当事由を主張し、契約期間満了日でサブリース契約の更新解除を通知しました。しかし、自身で物件を使用する必要性が低いとされ、正当事由としての主張は認められませんでした。
(出典:一般財団法人不動産適正取引推進機構「サブリース契約には借地借家法第28条の適用がないとして求めた賃貸人の建物明渡し請求が棄却された事例」)
いくら法律の専門家であっても、法によって守られている契約を、正当な事由なく一方的に破棄させることはできないのです。
依頼を受ける弁護士は、着手金目当てでまともに動かない可能性も
サブリース解約を弁護士に依頼したとき、正当事由として認められる可能性が低くても受けてくれるケースはあります。しかし、もしも弁護士が引き受けてくれた場合、むしろそのほうが注意すべきです。その弁護士や、弁護士から名義を借りて活動する業者は、着手金だけを目当てにしている可能性があります。
弁護士費用のうち、依頼内容の解決にかかわらず発生する費用を着手金といいます。解決が難しいとわかっていながらサブリース契約の解約依頼をあえて引き受け、実際は行動せず、着手金だけを掠め取るケースがあるのです。
同様の詐欺事例として、「ロマンス詐欺における着手金詐欺」を聞いたことがある人もいるかもしれません。
ロマンス詐欺とは、SNSやマッチングアプリなどを通じて出会った人から、恋愛感情を抱かせて高額な金銭等をだまし取る手口です。詐欺が発覚したときにはすでに国外へ逃亡しており、だまし取られた金銭の回収は容易ではありません。
それにもかかわらず弁護士や業者が「お金をすぐに取り返せる」「全額回収できる」などとうたい、被害者から依頼を受けます。実際は解決に向けて動くことはなく、そのまま行方をくらますという二次被害が発生しているのです。
サブリース契約の解約においても似たようなケースが散見されており、着手金だけを目的として実際のところ弁護士はなんら解決に向けて動かない可能性があるため、注意が必要です。
このような詐欺業者にだまされないためには、サブリース契約の解約がいかに難しいかを把握しておくことが重要であり、たとえ弁護士に依頼したとしても引き受けてもらえないことが前提と認識しておくことです。仮に引き受けてもらえた場合でも、サブリース契約を解約できるどころか、二次被害に遭う可能性があることを十分理解しておきましょう。
サブリースの解約を弁護士に依頼するリスクまとめ
本記事では、サブリース契約の解約は弁護士に依頼しても意味がないケースがあること、さらに潜んでいるリスクについて解説しました。
サブリース契約の解約は一般的に難しく、正当事由が必須となります。もし正当事由がない場合は弁護士にサブリース契約の解約を依頼すること自体が難しく、依頼できたとしても着手金詐欺といった二次被害に発展する可能性が高いことを理解しておきましょう。
サブリース契約を解約するにあたって正当事由がない、もしくは認められないようであれば合意解約として違約金の支払いを想定しておくことが賢明です。
サブリースの解約には当然テクニックが必要になってきます。自分で対処する自信がない場合は、LINEでも相談に乗っていますので、お気軽にご相談ください。
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