横行しているFPの勧誘やデート商法でワンルームマンション投資を始める危険

ワンルームマンション投資の勧誘が加熱しています。

中でも、非常に危険だと感じているのが、

  • FP(ファイナンシャルプランナー)によるワンルームマンション投資の勧誘
  • デート商法で投資用ワンルームマンションを買わせる

この2つです。

もちろんFPの他にも、生命保険の営業マンや営業レディといった外交員も同じように勧誘していますが、今回の記事では総称してFPとします。

なぜ、不動産業者でもないFPがワンルームマンション投資の勧誘を行っているのか?
実は、彼らFPと不動産業者との間には、とある約束事があるからなんです。

今日は、そのあたりも含めてお伝えしたいと思います。

また、デート商法については、「今はもうやっていないのでは?」と思うかもしれませんが、残念ながら今でもなくなってはいないのです。

その手口についても、ご紹介します。

FPと不動産業者との間に存在する「紹介料」という約束事

不動産業者が物件を販売して得られる利益というのは、だいたいの目安が決まっています。

ワンルームマンションの場合、1部屋成約になって業者が得られる利益の目安は

  • 新築ならば300万~600万程度
  • 中古ならば100万~300万程度

となっています。
※業者によって違いはあります。

業者がFPから紹介を受けた場合、タイトルにあるように紹介料を支払います。その紹介料は、この業者の利益の中から支払うことになります。

紹介料にも相場があり、ワンルームマンション1部屋あたりの紹介料は、だいたい10~30万円程度です。

中には、不動産業者が多くの利益を取れる新築などの物件ともなると、50~100万円という紹介料を支払う業者も存在しています。

ですが、なぜわざわざ高額な紹介料を支払ってまで、FPに紹介を依頼するのでしょうか?

 

高額な紹介料を支払ってでもFPに紹介を依頼する理由とは?

高額な紹介料を支払ってでも、FPに紹介料を依頼する理由はとても簡単です。

業者は、自分たちだけで物件を販売する力をもっていないから

本当にこれだけのことなのです。

本来、自社で作った不動産物件を自分たちで販売すれば、利益率も高いので会社にとってはベストなはずです。

ですが他社に販売を任せてしまえば、その分マージンが取られてしまうので、利益率は当然下がります。
もちろん中には「開発」と「販売」を分けている不動産業者もたくさんあります。

不動産業者には、たくさんの営業マンが所属しています。にもかかわらず、その営業マンには集客する力もなければ、販売する力もないのです。
そのため、FPや保険の営業マンなどの外交員にお願いして「ワンルームマンション投資」の営業を代行してもらっているケースが非常に多いのです。

こう考えると、ワンルームマンション投資の営業マンは、とても不動産屋とは言えないですよね。肝心の営業面を頼りきってしまっているのです。

ではその営業マンたちは何をしているのでしょうか。
その営業マンがやっていることと言えば、FPが紹介してくれた見込み客に対して、物件をあてがっているだけなのです。

残念ながら、ワンルームマンション投資の営業は誰にでもできるような仕事になってしまっています。
コミュニケーション能力があって、不動産投資に関する最低限の知識さえあれば、今は誰にでも務まってしまうのです。

まーくん
まーくん
昔はもっと真っ当な営業がいましたが悲しい現実ですね。

不動産の営業マンは自分で売るよりも簡単に決まりやすい、FPの獲得にせいをだすわけです。

紹介営業とはとても言えないずさんなFP

不動産業界に限らず、人からの紹介で商品を買うことはよくあることです。

私も紹介することもあれば、紹介を受けることもあります。

紹介というの、本来「自分が使ったら(買ったら)良かったから、他の人に紹介したい」という気持ちから発生しますよね。

ですが、ワンルームマンション投資でのFPによる紹介方法ははたしてどうでしょうか?

  • そのFPは、本当にワンルームマンション投資に詳しいのでしょうか?
  • 紹介している物件は、本当にそのFPが良いと思っている物件なのでしょうか?
  • 紹介している業者は優良な業者でしょうか?

そもそも、ワンルームマンション投資をやっていないことが多いわけです。

確かにFPという職業上、一般の方に比べたらお金や投資などの知識は豊富かもしれません。

ただ、ワンルームマンション投資に対しては、本当に紹介するほどの十分な知識があるのでしょうか。

私自身、今までにたくさんのFPの方にお会いしました。ただ、ワンルームマンション投資の知識をしっかりと持っていて、なおかつプランニングまで出来るような人はほんの一握りです。

FPはワンルームマンション投資のプロではない

まず、知っておかなければならないのは、FPや保険の営業マンは、ワンルームマンション投資のプロではない、ということです。

もちろん、お金や投資についての知識はありますが、ワンルームマンション投資についての知識は乏しいです。そのような人たちの話を信じて物件を購入してしまうのは危険でしかありません。

FPの中には、悪い業者と手を組んで、質の悪い物件を紹介していることがよくあります。しかも、紹介はしているので、質の悪い物件にもかかわらず、多額の紹介料を受け取っています。

ただ、これも仕方がないことでもあるのです。

仮にあなたがFPとして紹介する立場だったら、

①自信を持って紹介はできない、立地があまり良くない新築物件(紹介料は100万円)
②自信を持って紹介できる、立地が非常に良い築浅の中古物件(紹介料は10万円)

この2つがあった場合、どちらを紹介しますか?

心情的には、間違いなく②の物件を紹介してあげたいはずです。ですが、紹介料を考えたらいかがですか?1件という数は同じなのに、金額にすると90万円も違います。

このような理由からも、FPによっては①を紹介してしまう人がほとんどです。

FPという職業は、本来は顧客の立場に立たなければなりません。
独立的な立場によって、資産設計のサポートをするのが本来のFPです。

ですが、実は不動産業者と裏でつながっていて、紹介料というお金の関係ということが珍しくありません。

お金のプロであるFPや保険の営業マンに対して、顧客は信頼しています。プロだと思って接しているからです。

その信頼しているFPの紹介で不動産業者から物件の紹介をうけるので、断りづらいということにもなります。

このように、物件で選んでいるわけではなく、FPという「人」を信頼しているために、紹介をきっかけとしてワンルームマンション投資を始めてしまう人が増えているのです。

 

ワンルームマンション投資を始めた後で相談を受けるケースが増えている

ここまでお話ししたような経緯でワンルームマンション投資を始めてしまうので、あとから「やっぱり不安になった」と相談をしてくる方が増えています。

実は、自分から始めたいと思った場合と、紹介から始めた場合では大きく違う点があります。

その違いは、『知識』です。

自分でワンルームマンション投資を始めようと思った場合は、色々勉強してから始める方がほとんです。大きな買い物なので当然ですよね。

ですが、FPからの紹介の場合、購入後に心配になって学び始めます。

そこではじめて心配になって、相談してくるということですね。

FPの紹介料も減っている。だからより利益の出る物件ばかりを紹介しようとする

物件の仕入れが激化している地域があります。それは、都内の好立地の物件です。

人気のあるエリアの仕入れは年々難しくなっています。つまり、業者が取れる利益幅が少なくなってきているということも意味しています。

業者の利益幅が少ないということは、当然それに比例して紹介料も減るということです。業者の利益から支払っているわけなので当然ですね。

そのため、あまり立地が良くない物件に対して、最初から物件価格に多額の紹介料を上乗せするような業者が出てしまっています。

利益から紹介料を払うのではなく、紹介料も物件にのせてお客さんに払ってもらうということです。

FPがワンルームマンションを紹介するのはボランティアではありません。仕事です。
つまり、FPの目的は紹介料という人が多くいるのです。

「FPだから安心。FPはだますことはないだろう」

と信じてしまってはいけません。

実際は、多くのFPが不動産業者とつながっていることを覚えておいてください。

 

デーと商法でワンルームマンションを買わせる

さて、次はデート商法についてです。

もしかしたら、あなたもテレビなどで「デート商法で投資用ワンルームマンションを買わせた」というニュースを見たことがあるかもしれませんね。一時期、非常に横行していました。

今は少なくなったようですが、実際には完全になくなったわけではありません。

マッチングアプリの登場で加速しているという話も聞きます。

実際に被害にあった方から聞いた話を元に、デート商法とはどのような手口なのかをご紹介していきましょう。

 

デート商法の手口とは?

ここからは、実際に被害にあわれた方の話を元にお伝えしていきます。

デート商法の加害者(不動産業者側)との出会いのきっかけは「出会い系サイト」だったそうです。

当たり前ですが、まさかマンションを買わせようとしている人がいるなんて思っていないので、サイトを通じて普通に会う約束をしたそうです。

最初のうちは、普通に会って食事や映画などのデートを重ねました。とくに不動産や投資についての話などもなく、いたって普通のデートだったようです。

ですが何度か会っているうちに「年金」「老後の不安」「「資産形成や資産運用」の話が出てき始めます。そして、ついにマンション投資の話を切り出してきたそうです。

その方も、単純に不安になったこと、そして高い買い物なので、という理由から最初は断りました。

すると彼女は急に態度を一変し、契約を迫って来ました。

「なんで?信用できないの?」「私のこと嫌いなの?」といった感じだったようですね

 

おそらく、これを読んでいるあなたなら「断って帰っちゃえよ」くらいに思うかもしれません。

ですが、そうはいかないのがデート商法です。

その彼は、加害者である不動産業者の女性を本当に好きになっていたのです。

好きな彼女からの誘いであり、しかも絶対にやらないというほどの理由もないことから、結局物件を購入してしまったそうです。

買ったら終わり。徐々に会えなくなっていく

マンションを購入するまでは、彼女から毎日連絡あったそうです。

ですが、マンションを購入した後から連絡の間隔はどんどん空いていきます。ようやく連絡がついたと思ったら「体調悪くて会えない」「もう会社は辞めた」といった話になり、結局は自然と連絡を取らなくなり、関係は消滅したそうです。

購入した物件はそのまま持っている

彼女とは自然消滅しましたが、彼は今でもその時に買ったワンルームマンションを所有しています。

実際、特別悪い物件ではありません。もちろん凄く良いわけでもありませんが、いたって普通の物件でした。

デート商法を使わなくても、同じような条件のワンルームマンションを紹介している会社はたくさんあります。

もちろん、その業者の提携する金融機関によって金利は変わりますが、物件自体は酷いものではありませんでした。

 

デート商法で問題になるのは大きく2つ

デーと商法で問題だといわれる理由は2つあります。

1つは、そもそもデート商法自体が詐欺だ、という点です。

これはまさにその通りです。ただ、契約を取り消すことができるかは、現状では難しいことが多いです。

2つ目は、購入した物件が相場よりも高いという点です。

今回のお話に出てきた方は、相場よりも特別高い物件ではありませんでした。

ただし重要なことは、業者の話を鵜呑みにしないことです。
誰に勧められたとしても、必ず相場を調べる必要はあります。

これはデート商法にかぎらず、どの不動産業者から紹介を受けたとしても同じです。即答はせず、しっかりと自分で相場を調べるようにしましょう。

 

投資家の場合、不動産にかぎらずしっかりと調べてから投資します。

ですが、ワンルームマンション投資をする多くはサラリーマンです。なので、相場などをあまり調べずに購入している方がけっこういます。

これでは業者にすべてを委ねてしまっていることになります。

必ず自分でも調べるようにしましょう。紹介を受けた物件の周辺にある物件価格や家賃を調べれば、提案されている物件が高いか安いかの判断はつきやすくなります。

調べれば必ず大丈夫ということではありませんが、判断する基準としては十分です。

インターネットを使ってすぐに調べることができるので、面倒くさがらずに必ずやってください。

 

良い物件を買うために

FPからの紹介にしても、デート商法にしても、騙されないために一番必要なことは、自分自身で知識をつけることです。

不動産業者に任せっきりでは、良い物件を良い条件で購入することは非常に難しいです。

なぜなら、彼らは「自分たちが売りたい物件を売ろうとするから」です。

FPでいえば、先ほどお話ししたような自分に多くの紹介料が入るかどうかです。
不動産業者も同じく、利益幅だけで販売しようとしてきます。

言いなりになって騙されないためには、自分自身で知識をつけ、物件の価格やローンが適正なのか、購入後の管理はどうなっているのかなど、しっかりと判断するようにしましょう。