昨今の不動産価格高騰は、留まるところを知りません。不動産価格は上昇を続け、利回りは低下の一途をたどっています。 こうした市況の中で、実需層・投資家層ともに「割安感」のある築古物件(特に1981年以前の旧耐震基準の物件)へ目を向ける人が増えているのは無理もないことかもしれません。
「新築が高すぎるから、手の届く築古で」 そう考える気持ちは理解できます。しかし、築古・旧耐震物件にはさまざまな落とし穴が隠れています。
もちろん、「実需(マイホーム)」として、自分好みにフルリノベーションを行い、理想の空間を作り上げるという点では、築古物件にも大きなメリットがあります。それは「資産価値」以上の「生活の質」を追求する行為だからです。
しかし、「不動産投資」においては話が別です。投資対象として、築古・旧耐震物件は推奨できません。
旧耐震投資の出口リスク:物件タイプ別分析
築古物件投資は、主に「地方のボロ戸建て投資」と「都市部の旧耐震・狭小区分マンション投資」の2つに大別されますが、どちらも投資商品として「不適格」と言わざるを得ない重大なリスクを抱えています。
その最大の理由は、「出口(売却)」が塞がれている点にあります。
「築古戸建て」と「築古狭小区分」は、どちらも「流動性が極めて低い(売りたくても売れない)」という結論は同じですが、そこに至るプロセスが異なります。
1. 築古戸建て投資(地方・郊外)のリスク
近年流行の「ボロ戸建て投資」は、入り口(購入)の安さに目が向きがちですが、出口では「負動産(所有自体がマイナス)」化するリスクが高い投資です。
そもそも保有することがリスク:
格安で取得できるエリアは、過疎化や人口減少が進んでいる地域が大半です。賃貸需要(インカム)が細るだけでなく、実需(マイホーム)としての土地需要もほぼ無いため、売却相手が見つかりません。そもそも格安で手に入るということは、前のオーナーが「負債」だと認識しているから、に他なりません。
建物の「負債化」:
旧耐震の木造戸建ては、資産価値がゼロどころか、解体費用がかかるため「土地値マイナス解体費」での取引となります。さらに、シロアリ、雨漏り、傾きなどの瑕疵リスクが高く、売却後に契約不適合責任を問われるリスクや、売却価格以上の修繕費がかかるケースがあります。
再建築不可・境界非明示など:
築古戸建てには「今の法律では建て替えができない(再建築不可)」や「隣地との境界が確定していない」物件が多く含まれます。これらは住宅ローンが一切付かないため、一般人は購入できず、出口は「現金一括の投資家」か「隣地の住人」に極端に限定されます。
出口の結論:賃貸需要も安定せず、手放すこともままならないリスク
最終的に更地にして売ろうとしても、解体費が出ず、固定資産税を払い続けるだけの「お荷物」になりやすい。
築古戸建て投資塾に騙されてはいけない
最近は、築古戸建て投資を実践し、家賃収入1,000万円!と言ったような実績を示しながら、築古戸建投資のコミュニティを運営しているインフルエンサーも存在します。
ただ、築古戸建て投資は極めて不安定な投資であり、先述の通り出口が見えない投資ですから、その家賃収入の裏に莫大なリスクを抱えている実態があります。
そう言ったインフルエンサーの表面ばかりを見て夢を見てしまうと、後から目も当てられない状況になる可能性は高いです。現在は円安からインバウンド需要が見込めることから民泊での利用を勧めてくる塾や業者が多いですが、コロナのようなことが起こったら一発アウトで退場です。不動産投資は最悪の状態でも利益が取れる戦略を持つべきです。もちろん、毎月不労所得が何百万円もあって実験的に築古戸建てなんてケースであれば許容範囲ですが、不労所得をこれから作っていくための戸建て投資はリスキーです。
2. 築古狭小区分投資(都市部ワンルーム)のリスク
都心の好立地であっても、旧耐震の狭小物件(20㎡以下など)は、融資の壁とマンション特有の構造的問題により出口が塞がれます。
「融資の壁」によって出口が狭まる:
面積要件:金融機関によっては、投資ローンの対象として専有面積に制限を設けている場合があります。20㎡以下の狭小物件の場合、まずはこの面積要件に引っかかるリスクがあります。また、現状は融資対象だとしても、今後もずっとそうだとは限りません。
耐震要件: 旧耐震基準のマンションには融資を行わない銀行が増えています。
これにより、買い手は「現金を持った投資家」に限定され、サラリーマン投資家への出口が狭まります。
高騰する管理費・修繕積立金:
マンションは築年数が経つほど修繕積立金が値上がりします。一方で、築古の狭小部屋は家賃を上げることが難しく、むしろ賃貸の入れ替えのタイミングで下落することも。「家賃は下がる・経費は上がる」状態になり、手取り利回りが急激に悪化するため、投資対象としての魅力がなくなり、売るに売れなくなります。水道管が現在のマンションとは異なりコンクリートの中に埋め込まれていることも往々にしてあります。その場合、水道管が破裂した場合などに火災保険の適用がされないケースもあります。工事費用だけで何百万~千万円の費用がかかったケースもあります。
スラム化と連帯責任:
保有する専有部についてリフォームしたとしても、建物全体の配管老朽化や耐震不足は解消できません。旧耐震マンションは、高齢化した住民や行方不明の所有者が増え、管理組合が機能不全(スラム化)に陥るリスクがあります。この状態の物件を買う人はいません。
- 新築・築浅物件との競合:
旧耐震の狭小物件よりも、新耐震の中古物件や最近の新築・築浅物件の方が部屋の専有面積は広い傾向にあります。古い上に狭いとなれば、競合要因により家賃の下落圧力が強まります。
出口の結論:「賃貸需要が弱い上に、融資がつきにくいため売却しづらい」
立地が良くても融資がつきにくい、競合物件と比較されて選ばれにくいため、「投げ売り価格」でしか処分できない。管理費等の固定費が重くのしかかり、保有し続けること自体が出血となる可能性が高い。
築古戸建て・築古狭小区分の出口リスク
同じ「出口なし」でも、その要因が異なります。
| 特徴 | 築古戸建て(地方・郊外) | 築古狭小区分(都市部) |
| 主な立地 | 人口減少エリア、駅から遠い | 都心部、駅近が多い |
| ターゲット | ファミリー、ペット飼育層、生活保護 | 単身者、学生、外国人労働者 |
| 出口の買い手 | ほぼ不在 (稀に現金投資家・隣地所有者) | 現金投資家のみ (実需層・ローン利用者は不可) |
| 融資のハードル | 担保価値不足 土地値が低く、建物は評価ゼロ | 規格外・耐震不足 狭小(面積)×旧耐震で融資が難しいことも |
| 保有コスト | 突発的修繕費 屋根・外壁・白蟻など高額出費 | 固定費の増大 管理費・積立金が値上がりし続ける |
| 最大のリスク | 土地が売れない 解体費倒れ・再建築不可 | 管理組合の崩壊 建替え不能・スラム化 |
| 損切りの難易度 | 買い手がつかず、0円でも手放せない | 大幅安値なら売れる可能性はあるが、 |
共通する結論:出口戦略の著しい欠如
どちらのタイプも、「次の買い手がローンを使えない」という点で共通しており、これが資産価値を著しく毀損します。
不動産投資の出口戦略は「誰に売るか」の想定から始まりますが、旧耐震物件は、
実需層(マイホーム)に売れない(ローン不可・耐震不安)
一般投資家に売れない(融資不可・高リスク)
現金購入の玄人投資家にしか売れない(ただし、彼らは利回りを厳しく見るため、二束三文で買い叩かれる)
という構造になっており、「インカムゲイン(家賃)で元本回収を完了させるまで、絶対に手放せない(逃げられない)投資」であると言えます。
ただ、元本回収するには賃貸を埋め続ける必要がありますが、それは至難の業ですけどね・・・。仮に利回り10%だとしても、諸々の費用を加味すれば回収には12~13年ほどかかるでしょう。
プラスに転じるのが10年後で、かつ不安定な投資はやるべきではないでしょう。それであれば真っ当な不動産購入すれば5年ほどで回収できてしまいますよね。
まとめ
不動産投資は、資産性と利回りのトレードオフです。
築古・旧耐震物件への投資は、完全に利回りに偏っている投資で、ハイリスク・ハイリターンという言い方もできます。
ただそのハイリターンも永続的に続くものではなく、かつ売却も難しいとなると、安易に手を出すべき投資ではないでしょう。
もし今検討しているなら、一度立ち止まって冷静になることをオススメします。
本当に稀(1000戸に1戸くらい?)にですがお宝物件が潜んでいることもあります。戸建ても区分も!これはお宝ではないの?と思う方はぜひ詳細教えてください。お宝物件かどうかお伝えできますよ。
すでに購入してしまったが将来的な不安があるということであれば、何らか対策はあります!お宝物件とまでは行きませんが近い物件まで持っていくことも可能です。もし相談があればLINEいただければアドバイスできますよ。


