ワンルームマンション投資を考える方の多くは、30代や40代です。丁度その年代は、マイホームの購入を考えだす時期でもあります。
当然ですが、同時に2つ購入しようとする方は少なく、どっちが先かを検討します。ここで多くの方は、「まずはマイホームを買って、その後でワンルームマンション投資を始めよう」と結論を出してしまいます。
ですが、ここに大きな問題があります。
先にマイホームを購入してしまうと、その後の投資プランにとってマイナスの影響を及ぼしてしまうのです。本来購入することができる投資物件の数が、半分以下になってしまうことがあるのです。
なので、先に結論から言うと、マイホームを購入する前に、ワンルームマンション投資を始めることが正解です。
ですが、マイホームだろうとワンルームマンション投資だろうと、ローンを組んで不動産を買うことには変わりないですよね? なのになぜ、順番が大切なのでしょうか。
今回は、その理由を解説していきます。
マイホームよりワンルームマンション投資を優先させる理由は、融資のおりやすさに影響するから
マイホームを購入する時も、ワンルームマンション投資を始めるとしても、物件を購入する際は、ほとんどの人が銀行などの金融機関から融資をうけます。ほぼ全員と言っても良いくらいでしょう。ですが、その融資を受けるための審査はとても厳しいのです。
銀行融資の審査基準を分かりやすく解説しながら、ワンルームマンション投資を先に始めた人と、マイホームを購入してからワンルームマンション投資を始めた場合に、どんな差が生まれるのかをお話していきます。
マイホームのための住宅ローンは「負債」と見られ、金融機関からの融資がおりにくくなる
金融機関が融資の審査をする際のチェックポイントは、「給与収入」「副業収入」「所属会社について」「勤続年数」「雇用形態」などがあります。そして「負債の有無」の確認も必ずあります。
「負債の有無」とは何かというと、ローンを使って購入した「自宅」「車」「エステ」「健康器具」、あるいは「リボ払い」も負債です。「負債」という言葉から、消費者金融などの借金と思う方も多いのですが、実際にはこれらローンを組んで購入したものは負債となります。毎月の支払いが発生するというのが理由です。
例えば、ワンルームマンション投資をスタートさせようと思っているAさんとBさんがいるとします。
AさんもBさんも年収は600万円。毎月の手取りは40万円のサラリーマンです。(※扶養家族などは考慮しないものとします。)
ただ、1つだけ違いがあります。
Aさんは既にマイホームを購入していて、毎月15万円のローンを返済しています。一方のBさんはローンの返済はありません。
さて、この2人がワンルームマンション投資を始めようとして、銀行でローンの審査を受けました。その際、銀行では次のような審査をしています。
Aさんが毎月自由に使えるお金は
40万円【給与収入】- 15万円【住宅ローン】=25万円。
先ほどお伝えしたように、住宅ローンは負債とみなされます。そのため、手取り額からその分を引かれてしまうのです。なので、Aさんの融資審査の基準は25万円になります。
一方のBさんはローンがないので、手取り額である40万円が融資審査の基準となります。
つまり、収入は同じにもかかわらず、ワンルームマンション投資ローンを組む前に、自宅や車を購入するためのローンを組んでしまうと、融資枠を狭めてしまうことになるのです。
このように言うと、先にマイホームを購入するとワンルームマンション投資を始めることが出来ないと思ってしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。マイホームを購入した後でも、ワンルームマンション投資を始めることはできます。
ただし、たった1つ、マイホームの購入とワンルームマンション投資を始める順番によって、将来得られる収益に大きな「差」が出てしまいます。具体的にどのくらいの差が生まれてしまうのかについて、詳しく見ていきましょう。
本来なら4部屋買えるはずが、1~2部屋しか買えなくなってしまう
金融機関が審査する際、もっとも重視するのが「返済能力」です。
お金を貸すわけなので、しっかりと返済能力のある人には貸す、返済能力がない人には貸さないのは当然です。私たちがお金を貸すとしても同じですよね?
金融機関が返済能力を何で判断するかというと、「毎月自由に使えるお金がいくらあるのか」です。その上で、「ローンの返済をしても、生活費に困らないくらいのお金が残るように融資する」ということをします。
(※これは法律で定められているわけではありません。もちろん銀行によって基準は違います。あくまでも一般的な投資用マンションに融資をしている銀行としてお話ししています。)
では、先ほどのAさんとBさんで見てみましょう。先に、わかりやすいように、ローンのないBさんから解説します。
ワンルームマンションを投資を先に始めたので、ローンの返済がないBさんのケース
購入件数 | ローン返済合計額 | 自由に使える額 | 銀行としての判断 |
なし | 0万円 | 40万円 | 是非融資します! |
1部屋目 | 8万円 | 32万円 | まだまだ大丈夫です! |
2部屋目 | 16万円 | 24万円 | まだ大丈夫です! |
3部屋目 | 24万円 | 16万円 | 少し厳しくなってきました |
4部屋目 | 32万円 | 8万円 | ここがギリギリ! |
<結果>
- 4部屋購入可能
- 完済後は毎月32万円の収入
ワンルームマンション投資を先に始め、ローンの返済がないBさん。銀行からは「最低、8万円残れば生活できるでしょう」という判断です。そのため、4部屋まで購入可能と判断されました。
「40万円の手取りがあるのに、生活費8万円て少なくない?」と思ったかもしれませんね。ですが、これはあくまでもこれは銀行の判断というだけです。
実際には、ワンルームマンション投資の場合「ローンの返済は家賃収入」でまかないます。部屋を貸している人がローンの返済をしてくれるのです。つまり、ローンの返済が始まったとしても、実際に使える自由なお金は、ほぼ40万円のままなのです。
マイホームを先に購入し、住宅ローンの返済があるAさんのケース
では、一方のAさんを見てみましょう。Bさんとの違いは、既にマイホームを購入し、毎月15万円のローン返済があることです。
購入件数 | ローン返済額合計 | 自由に使える額 | 銀行の判断 |
なし | 0万円 | 40万円 | 是非融資します! |
マイホーム | 15万円 | 25万円 | まだ大丈夫です |
1部屋目 | 23万円 | 17万円 | 少し厳しくなってきました |
2部屋目 | 31万円 | 9万円 | ここがギリギリ! |
<結果>
- 2部屋購入可能
- 完済後は毎月16万円の収入
Aさんの場合、先にマイホームを購入しました。住宅ローンとして毎月15万円の返済があるので、自由に使えるお金は25万円という基準で審査が始まります。その結果、融資できる物件は2部屋までと判断されてしまいました。
さらに、マイホームのための住宅ローンの返済は自分で返すしかありません。つまり、家賃収入でワンルームマンション投資のローンは返済できますが、使えるお金は25万円のままです。
40万円という同じ手取りにもかかわらず、マイホームを先に買ったというだけで、2部屋分も買えなくなってしまいました。部屋数が半分ですので、将来的にBさんと比べると、家賃収入も半分になってしまうということです。
ここまでお読みいただいて、マイホームを購入する前にワンルームマンション投資を始めるほうが良いということが、おわかりいただけたのではないでしょうか。
では次に、マイホームとワンルームマンションの違いについて、「資産形成」という視点からお話をしていきたいと思います。
資産形成を考えても、ワンルームマンション投資を先に始めるほうが有利
次の表は、
- 同じ時期
- 同じ価格
という条件で、「マイホームを購入した場合」と「都内ワンルームマンションを2部屋を購入した場合」でローンの返済が終わった後の資産価値を比較したものです。
項目 | 郊外マイホーム購入 | 都内ワンルームマンション2部屋購入 |
購入価格 | 4000万円 | 4000万円 |
リセールバリュー | 落ちる 最悪の場合は1/5以下 | 上がる可能性もある 都心なので価値が落ちにくい |
収入 | 0円 | 毎月16万円(8万円×2部屋) |
早速解説していきましょう。
まず、数十年後には、どちらのケースでもローンは完済しています。つまり、借金のない不動産を所有しているという状態です。購入価格が同じで借金もなければ、資産価値は同じだと思ってしまうかもしれませんが、実際には全く違います。
例えば、マイホームは購入価格から値段が上がるということはまず見込めません。そして、ローンが完済するまでは、自分のお金で支払っているため、仮に売却益がでたとしても、それまでのローンに支払った総額を考えるとマイナスになります。
一方で、都内ワンルームマンションの場合は価値が下がるどころか、上がることさえあります。もし価値が下がっていたとしても、ローンの返済は自分のお金ではなく、家賃収入によってまかなわれていたため、売却益はそ丸々プラスになるのです。
もちろん、ローン完済後のマイホームは家賃がかかりません。メリットと言えるでしょう。ですが、もし毎月16万円の不労所得が入ってきたらどうでしょうか?賃貸に住んで、その不労所得を家賃に充てれば、同じくこれも家賃が掛かっていないのと同じことになります。
このように、資産形成という視点で見ると
- マイホーム=収益を生まない
- ワンルームマンション投資=収益を生むことができる
という大きな違いがあるので、マイホームの購入前に、ワンルームマンション投資を始めるべきなのです。
マイホーム購入のための住宅ローンは、ワンルームマンション投資をしていても問題なく組める
マイホームを購入して住宅ローンを組んでいると、ワンルームマンション投資の融資審査は通りづらくなります。ですがその逆に、ワンルームマンション投資を先に始めていても、マイホームが購入できないということはありません。
もちろん、金融機関の視点で言えば、自由に使えるお金が少なくなるので、融資がおりにくくなる可能性はあります。ですが、「フラット35」というローンを使うことで、金融機関のローンの有無に関係なく、融資を引くことができるのです。
今は変動金利が非常に低いです。多くの銀行で変動金利は0.5%程です。一方で、フラット35は固定で1.3%程度が多いです。金利の差が0.8%あります。この金利の差はとても大きいので、だったら先にマイホームを買ったほうがいいでしょう、と思うかもしれません。ですが大切なのは、目先の利益ばかりを見ないということです。
変動金利より高いフラット35でローンを組んだとしても、長期的に見るとお得なことがよくわかるはずです。
銀行の融資は「確定申告」、フラット35は「源泉徴収」で融資を受けられるかが決まる
マイホームを購入しようとして銀行から変動金利で融資を受ける場合、ここまでにお話した内容と考え方は同じで、「使える金額がいくらあるのか?」で判断されます。ということは、ワンルームマンション投資を始めたばかりの場合、どうしても赤字となってしまいます。そのため確定申告の収入が下がっているので、融資がおりづらくなります。時期をもう少し遅らせたほうが良いと言えるでしょう。
一方、フラット35の場合は、確定申告ではなく「源泉徴収」の確認のみです。つまり、ワンルームマンション投資を始めていてローンを組んでいたとしても、「給与収入」しか確認されないということです。
1点だけ注意が必要なのは、源泉徴収がもらえること。つまり、サラリーマンであることが条件ということです。
サラリーマンであれば、仮にワンルームマンション投資で融資枠を使ってしまったとしても、問題なくマイホームの購入をすることができます。
もちろん、変動金利に比べて金利は高くなってしまいます。「そんなのもったいない」と考えるのもよく理解できますが、長期的な視点で見るようにしてください。
例えば、次のCさんとDさんの2人で比較してみましょう。
- Cさん(年収700万):先にマイホーム購入後にワンルームマンションを1件購入
- Dさん(年収700万):先にワンルームマンション4件購入後にフラット35でマイホーム購入
Aさん(変動金利) | Bさん(フラット35) | 差 | |
借入額 | 5000万円 | 5000万円 | 同じ |
金利 | 0.5% | 1.3% | 0.8% (変動金利の方がお得) |
返済額 | 13万円 | 14.8万円 | 1.8万円 年間:21.6万円 (変動金利の方がお得) |
ワンルーム保有数 家賃収入額 | 家賃8万円×1部屋 年間96万円の収入 | 家賃8万円×4部屋 年間384万円の収入 | 年間:288万円 (フラット35の方がお得) |
ほとんどの方が、目先の金利にばかりに目がいきます。金利が低いということが最も重要だと考えます。ですが、目先の金利に目を奪われるのではなく、長期的な視点で見てみましょう。
- 変動金利で年間約20万円節約するか
- フラット35でローンを組み、ワンルームマンション4部屋で年間384万円の資産を築くか
どちらが本当にお得でしょうか? 言うまでもないですよね。
このように、ワンルームマンション投資を始めることで融資枠を使い切ったとしても、マイホームの購入は可能です。しかも、十分に資産を築くことができるのです。
ワンルームマンション投資とマイホーム、購入の順番に気をつけよう
マイホームを購入する前に、ワンルームマンション投資を始めるほうが良い、ということはおわかりいただけたと思います。
ワンルームマンション投資もマイホームの購入も、迷うのは同じような時期です。多くの方は20代後半〜30代に始めたり、マイホームの購入も検討します。
だからこそ、順番を間違えないようにしてください。始める順番が逆になってしまうだけで、あなたの得られる収益が半分にすらなってしまいます。
もちろん購入する物件の立地も大切です。東京・大阪・名古屋の三大都市か、横浜・川崎エリアのワンルームマンションを前提にお話ししています。地方に購入してしまったら、順番の問題ではありませんよ。