ワンルームマンション投資の失敗事例から学ぶ投資前のチェックポイント

株式投資やFXと比べてリスクが低く、元手がなくてもローンで始められる不動産投資。
そのなかでも、物件の価格が比較的安く、手を出しやすいことからワンルームマンション投資が流行っています。

せっかく始めるなら、ワンルームマンション投資でもできるだけ投資効率の高いものにしたいですよね。
不動産業者のなかには、賃貸需要の低い物件をあの手この手で物件を売りつけようとしてくるところもあるので、注意が必要です。

今回はワンルームマンション投資を検討している方のために、新築と中古、それぞれで「失敗した」と後悔しないためのポイントについて紹介します。

新築ワンルームマンション投資失敗事例5選

新築のワンルームマンションの場合、主に以下のケースでの後悔が後を断ちません。

・「新築プレミアム」により家賃が高めに設定されている
・長期的な賃貸需要が見込めない物件を購入してしまう
・節税効果を過剰に期待して物件を購入してしまう
・目先のキャッシュフローだけを見て失敗と勘違いしてしまう
・自社物件しか販売できない営業マンは非常にキケン

ここでは、それぞれの失敗事例について紹介していきましょう。

「新築プレミアム」により家賃が高めに設定されている

【事例】
Aさんは投資用に、新築のワンルームマンションを3,000万円で購入しました。
家賃の設定額は12万円、表面利回りは4.8%です。

しかし急遽、最初の入居者の転勤が決まり、退去することになってしまいました。
新築ではなくなってしまったため、家賃の設定額は10万円にダウン。
結果、表面利回りが4%に落ちてしまいました。

【解説】
新築なら相場よりもある程度高い家賃でも入居者が付くため、1~2万円ほど高く貸し出すことを、新築プレミアムと言います。
また、家賃が1~2万円上がることで、物件の販売価格が数百万円上昇します。

新築ブランドがなくなってしまえば、家賃を相場に落とさなければ、入居者が付きません。
そのため、2人目の入居以降は、利回りが低くなってしまうのです。

長期的な賃貸需要が見込めない物件を購入してしまう

【事例】
Bさんは、大規模な工場の近くにあるワンルームマンションを購入しました。
工場に勤める人たちからの需要が高く、空室になることはほとんどありませんでした。

しかし購入から数年経って、その工場が移転することになりました。
駅からの距離も遠く、周りに何もないBさんのワンルームマンションには、入居希望者がいなくなってしまいました。

【解説】
近くに工場や大学などがある場合、そこに通う人たちからの需要が高く、入居者が付きやすくなります。
しかし長期的な目線で見ると、こうした施設がなくなってしまうリスクもあります。

物件を選ぶにあたって、1つの工場や大学などに依存するのは危険です。
それよりも、交通の便が良い、都心に近いなど、長期的に需要がなくならないような場所にある物件を選んだ方が低リスクです。

また、借り上げ社宅としての契約が決まっているというセールストークもあります。一見安定した運用が期待できそうですが、不動産投資は30~50年という非常に長期な投資です。借り上げの契約が続かない可能性も十分に考えられます。そういったセールスポイントがなくても入居者がつく物件を選びましょう。

節税効果を過剰に期待して物件を購入してしまう

【事例】
不動産業者の営業マンから「節税になる」と勧められて、ワンルームマンションを購入したCさん。
しかし営業マンに勧められて購入したワンルームマンションは、収益性の低い物件でした。

確かに所得税の額は安くなりましたが、ワンルームマンション経営に経費がかかるぶん、どんどんお金が出ていくはめになってしまいました。

【解説】
不動産業者の営業マンのうたい文句に多いのが、「節税になる」という言葉です。
会社員の場合、ワンルームマンション投資で赤字になった分を給与所得から差し引けるぶん、納める所得税の額を安くできます。

しかし、節税目的でワンルームマンション投資を始めるのは、おすすめできません。
なぜなら、節税を基準に物件を選ぶと、収益性が高いかどうかを度外視してしまいがちだからです。

節税効果をやたらとアピールしてくる営業マンがいたら、人気がなくて売れない物件を売るのが目的かもしれないので、特に注意しましょう。

目先のキャッシュフローだけを見て失敗と勘違いしてしまう

【事例】
不動産業者の営業マンに勧められて、都心にあるワンルームマンションを購入したDさん。
しかし毎月1万円の手出しが生じており、実質の手取りが減ってしまいました。

この投資は失敗だと思ったDさんは、早くも物件の売却を検討し始めました。

【解説】
キャッシュフローとは、現金の流れのこと。
不動産投資においては、家賃収入から各種経費を引き、手元に残ったお金のことを指します。

経営において、キャッシュフローは非常に重要です。
しかし不動産投資においては、キャッシュフローは1つの指標にすぎません。

ワンルームマンション投資では、残債と物件価格の差額が一番重要な指標になります。
毎月1万円のマイナスだったとしても、入居者の家賃が8万円だった場合、毎月9万円のローンを返済していることになります。確かに手元のお金はマイナス1万円かもしれませんが、8万円の収入が生じているということを忘れてはいけません。またマイナスのお金も浪費しているわけではなく、物件価格として貯金されていると考える方が正しいです。
つまり毎月1万円で9万円の貯金ができています。
その積み重ねの結果、残債から貯金額分が減っていき、物件売却時に数百万円の売却益を作ることができるのです。
目先のキャッシュフローが悪いからといって、失敗だとは限りません。

自社物件しか販売できない営業マンは非常にキケン

【事例】
最近、不動産投資に興味を持ち始め、物件の購入を検討していたEさん。
そんなところにたまたま、デベロッパーからの営業電話がかかってきました。

紹介された物件は、Eさんにとってあまり興味が持てないものでした。
しかし営業マンは、「これは本当に良い物件」「今買わないとすぐに売れてしまうかも」としきりに勧めてきます。

結局Eさんは、「プロがこれだけ勧めるのだから」と納得し、紹介された物件を購入してしまいます。

【解説】
自社デベロッパーの物件しか売れない営業マンは、その物件をゴリ押ししてくるため、危険です。
探せばもっと良い物件に巡り会えるかもしれませんし、そもそもそれが本当に優良な物件だとも限りません。

売上をあげるために、買い手の付かない、人気のない自社物件を推してくる営業マンもたくさんいます。
こうした営業マンに騙されて失敗しないように、注意しましょう。

中古ワンルームマンション投資失敗事例4選

新築に続いて、中古のワンルームマンション投資の失敗事例についても紹介していきましょう。
中古の場合に多い失敗のケースには、以下のものがあります。

家賃保証をあてにして物件を購入してしまう
設備劣化を加味せずに投資を始める
物件価格が安いからといって賃貸需要の薄い地域で投資を始めてしまう
物件の資産性よりキャッシュフローを優先してしまう

ここでは、これらの失敗事例について紹介していきます。

家賃保証をあてにして物件を購入してしまう

【事例】
Fさんは、家賃保証(サブリース)の付いているワンルームマンションを購入しました。
最初は安泰でしたが、数年経ってからの契約更新時、サブリース会社から一方的に家賃の減額を言い渡されてしまいます。

その後も、契約更新のたびに家賃を減額され、まともな収入を得られなくなってしまいました。

【解説】
家賃保証とは、空室の期間も家賃収入が得られるという保証です。
しかし家賃収入そのものは保証されても、契約時と同じ金額が保証されるわけではありません。

家賃保証を付けた場合、家賃の額はサブリース会社に決定権があります。
そして多くの場合、家賃は契約更新時に減額されてしまうのです。

その結果、収入の額はどんどん減っていき、最悪の場合は破綻に追い込まれてしまいます。

設備劣化を加味せずに投資を始める

【事例】
Gさんは販売価格が安いという理由で、築30年超のワンルームマンションを購入しました。
入居者も決まって順調かと思った矢先、借主から、部屋に水漏れがあるとの報告が。

調べてもらうと、建物の給排水管が破裂していることが発覚。
Gさんは修繕費用として、100万円もの金額を支払うことになってしまいました。

【解説】
築年数の古い物件では、設備の経年劣化によって、購入後に大規模なメンテナンスが必要になることが多くなっています。
この点を考慮に入れずに古い物件を購入してしまうと、思わぬ損害を被ることになってしまいます。

古い物件を購入するときは特に、修繕工事の履歴や修繕積立金の額をしっかり確認しておきましょう。

物件価格が安いからと言って賃貸需要の薄い地域で投資を始めてしまう

【事例】
Hさんは物件価格が安いという理由で、中古のワンルームマンションを購入しました。
しかしそこは物件価格が安いぶん、家賃の相場額も安く、賃貸需要も少ない地域でした。

さらに、近くに同じ価格帯の築浅物件も建っているようで、一向に入居者が付きません。

【解説】
地方や郊外では家賃に対する物件価格が安いため、表面利回りが高くなりがちです。
しかし物件価格が安いから、利回りが高いからという理由で、地方や郊外の物件を選ぶのは危険です。

その地域に賃貸需要がなければ、部屋を借りる人がいないため、家賃収入が発生しません。
入居者が付かなければ、利回りは0%です。

物件の資産性よりも目の前のキャッシュフローを優先してしまう

【事例】
毎月の家賃収入で自分のお小遣いを増やそうと、中古のワンルームマンションを購入したIさん。
しかしお小遣いを得るどころか、毎月1万円の手出しがあり、貯金は減るばかり。

周囲の反対を押し切って物件を購入したIさんは、家族からも非難され、ノイローゼになってしまいそうでした。

【解説】
先ほども説明したとおり、ワンルームマンション投資で一番重要なのはキャッシュフローではなく、残債と物件価格の差額です。
この点は、新築でも中古でも変わりありません。

毎月1万円の手出しがあれば、損をしていると思ってしまうのは無理もありません。
しかし実際は、家賃の額+1万円が貯金できているので、資産の額は増えていると言えるのです。

ワンルームマンション投資で失敗しないためにチェックすべきポイント6選

ここまで、ワンルームマンション投資の失敗事例について紹介してきました。
では、失敗を避けるためには、どのようにすればいいのでしょうか?

ここでは、失敗する確率を下げるためのポイントについて説明していきます。

サブリースをあてにしない
サブリースとは、不動産会社がオーナーからワンルームマンションを借り上げ、その物件を別の人に転貸しすること。

サブリースは空室の期間も家賃が保証されるのがメリットですが、この場合の賃料は通常の8~9割ほどに下げられてしまいます。
また多くの場合、空室が続くと、サブリース賃料をさらに減額されてしまうというデメリットもあるのです。

また、都内の賃貸稼働率は95%を超えています。95%というと2年で1ヶ月ほどの期間です。2年で1ヶ月というのは退去、清掃、客つけ期間を考えると2年ごとに入居者が入れ替わるとするなら当然発生する空室です。また、この空室は礼金で穴埋めできます。
このような状況のなかで毎月1~2割のサブリースは意味がありません。
サブリース手数料が2割だとすると、2年で約5ヶ月分の家賃になります。つまり5ヶ月以上空室が出る物件でなければ損するのです。
そもそも2年で5ヶ月も空室が出る物件を買ってはいけません。

物件の立地は大都市圏内の駅徒歩10分以内

入居者が付きやすいかどうかは、物件の立地によって大きく変わります。
大都市の圏内で、駅から徒歩10分以内であれば、好立地のため、入居者も付きやすいと言えるでしょう。

ただし大都市(恵比寿、中目黒、渋谷、新宿など)の物件は販売価格が高いため、利回りも低くなってしまいます。

そこで狙い目なのが、人気がある駅から、各駅停車で数駅先にある物件です。
こうした場所にあるワンルームマンションは需要が高いうえ、物件価格もグッと安くなります。

節税効果を期待しすぎない

ワンルームマンション投資で目指すべきは、あくまで黒字経営です。
節税効果を期待しすぎると、収益性の低いワンルームマンションを購入してしまい、手痛い損害を被ることにもなりかねないので注意しましょう。

会社規模が大きいからと安心しない

物件を購入するうえで、大手⁼安心とは限りません。

不動産投資で一番重要なのは、物件の見極めです。
具体的には立地、築年数、家賃などです。
大手だからと言って全て良いなんてことはありません。
名前に圧倒されるのではなく、良い物件を購入する気持ちでいましょう。

市場価格と残債の差が利益になる

ワンルームマンションをローンの支払い期間中に売却する場合、売却価格とローンの残債の差が利益になります。
基本的に売却価格は市場価格とイコールになるため、売却する場合も頭に入れて、なるべく資産性の高い物件を購入するようにしましょう。

また、ローンの残債を少なくしておくことも有効です。
頭金を多めに支払ったり、繰上返済をすることで、残債を少なくできます。

まとめ

株式投資やFXに比べれば低リスクと言われているワンルームマンション投資ですが、一方株式投資やFXのように少額でテストといったことができません。過去の失敗事例を知り確かるべきポイントを抑えることで、投資効率を引き上げることができます。

信頼できる業者や先輩大家に聞くなどして、負のリスクを排除した投資にしましょう。