節税用の耐用年数越えのアパートやマンションは危険!エリートサラリーマンを狙う「不動産投資の罠」とは

「所得税や住民税が大幅に還付されますよ」

高年収のサラリーマンであれば、一度は不動産会社からこんな営業電話を受けたことがあるのではないでしょうか。またはSNSやネット広告や記事に紛れて年収1000万以上の人限定の節税や一括で償却のような魅力的な文言を見かけた人も。日々多額の税金を納めているエグゼクティブにとって、「節税」という言葉は非常に魅力的に響きます。

しかし、節税目的で「耐用年数越えのアパートや鉄骨マンション」を購入するのは、時限爆弾を抱えるようなものです。

結論から言えば、節税目的の耐用年数越えのアパート投資は非常にハイリスクです。

今回は、なぜ築古の節税物件が危険なのか、その恐るべきカラクリと実態を解説します。

元不動産屋・現役サラリーマン投資家 田中

サラリーマン大家。新卒で中堅不動産投資会社に就職。 お客様第一ではない不動産会社のあり方に疑問を感じ、メーカーの営業職に転職。現在はコンサル会社に転職し不動産会社勤務の経験を生かして不動産会社の経営コンサルを行う。 地道に買い増しや売却益を活用し、現在17戸年間家賃収入1,010万円(ほぼ不労所得)。1,010万円を元手に投資信託や株を購入し、さらなる資産拡大に挑戦中。

ブログを始めて累計相談数が2,700名超えしました。物件を見極めるにはどうしたらいいか、どんな業者がいいのか、サラリーマンが不労所得を作る上で最短の道筋など、知りたい方はLINEで相談に乗ってます。

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なぜ「耐用年数越え物件」が節税になるのか

不動産営業マンが築古物件を勧める最大の理由は、「短期間で帳簿上の大きな赤字を作れるから」です。

法定耐用年数を超えた物件は、税法上の「簡便法」を用いることで、建物の価値を最短4年という非常に短い期間で減価償却(経費計上)できます。これにより、実際の現金の動きとは別に大きな「帳簿上の赤字」を作り出し、給与所得とぶつける(損益通算する)ことで、納めすぎた税金を取り戻すことができます。

確かに最初の数年間は劇的な節税効果があります。しかし、この節税効果にはとてつもなく大きな4つの落とし穴が待っています。

その落とし穴について一つずつ解説していきます。

  • 落とし穴1:サブリースの賃料改定
  • 落とし穴2:購入4年で訪れるデッドクロス
  • 落とし穴3:手抜き工事による莫大な修繕費
  • 落とし穴4:売却したくても売却できない

落とし穴1:サブリースの賃料改定

耐用年数超えのアパートは賃貸需要が弱いため、2年ごとに訪れるサブリースの賃料改定時に賃料が一気に引き下げられる可能性があります。

サブリース賃料は引き下がる一方で、ローン返済の金額は変わらないため、キャッシュフローの幅が縮小し、場合によっては赤字になることもあります。さらに金利上昇が加味されると大変なことに。

業者によってはサブリース賃料の引き下げを織り込み済みで販売している実態もあります。

落とし穴2:購入後4年で訪れるデッドクロス

デッドクロスとは、ローンの「元金返済額」が税務上の「減価償却費」を上回る現象です。

耐用年数越えのアパートは4年で減価償却が終わるため、5年目からの減価償却費は0円になります。一方で、物件のサブリース賃料は売上として計上されますので、帳簿上の黒字が発生。節税目的で購入した不動産によって、増税が始める瞬間です

増税分が不動産のキャッシュフローで賄えれば良いですが、賃料のほとんどをローン返済に充てることになるため、増税コストは本業のサラリーマンとしての収入から補填することになります。

落とし穴3:手抜き工事による莫大な修繕費

「1981年以降の新耐震基準だから安心です」というセールストークにも要注意です。

バブル期や建築ラッシュ時に建てられた物件の中には、配管、断熱材、防水工事などが杜撰な手抜き工事である事例が枚挙にいとまがありません

さらに危険なのが、「リフォーム未実施」の状態で引き渡されるケースです。 表面的にはクリーニングされて綺麗に見えても、壁の裏の給排水管や屋上防水などは何十年も放置されていることがあります。

購入直後に水漏れトラブルや大規模修繕が発生し、得られた節税額をはるかに上回る修繕費を自腹で払うハメになるのです。

落とし穴4:売却したくても売却できない

莫大な修繕費やサブリースの賃料改定、デッドクロスと続けば、節税にもならない赤字の不動産経営をしていることになります。

そうなれば当然、物件を保有している意味がそもそもないですよね。そこで考えるのが売却です。

しかしここでも大きな落とし穴が待っています。

耐用年数越えの不動産は、投資家個人の与信に合わせて3割ほど高い価格設定で販売されていることが多く、売却しようにも残債に満たない価格での売却になることがほとんど

加えて、耐用年数越えですからローンもつきづらく、購入できる人の母数がそもそも少ないため、結局保有し続けるしかなくなってしまいます

田中
田中
更なる修繕費、賃料下落に怯えながら持ち続けることになります・・・

「銀行ローンが下りる=物件価値がある」は間違い

ここまで、耐用年数越えの不動産投資のリスクについて説明しました。

では、なぜこんな破綻したスキームに加担する銀行がいるのでしょうか

「〇〇信用金庫のような厳しい金融機関から、フルローンで35年の融資が下りた。銀行が認めたのだから優良物件に違いない」

これは、多くの人が陥る最大の勘違いです。銀行が融資してくれた=安心な物件ではありません

耐用年数を超えたボロボロの物件に対し、銀行は物件の担保価値などほとんど評価していません。銀行が当てにしているのは、「あなたの高い年収(与信)」です。だからこそ高年収層をターゲットにしているわけです。節税という甘い言葉で負動産を売りつける。。。

「万が一物件から収益が上がらなくても、この人の給料から毎月確実に回収できる」と踏んで融資を出しているに過ぎません。耐用年数越えの物件で35年ローンを組むということは、建物が朽ち果てて更地になった後も、延々と借金を返し続けるリスクを背負うことを意味します。

税務署が節税を否認するケース・最悪重加算税を課せられる場合も

耐用年数越えのアパートを購入する目的は、”節税”の一点に尽きます。

しかし、その唯一の目的さえ、近年税務署は否認するケースが増えてきています。否認だけならいいが、故意の脱税行為とみなされ、重加算税を課せられるケースも・・・。

なぜ節税が否認されるかというと、購入時の土地と建物の割合にあります。

土地は減価償却できませんので、購入価格のうち建物の割合が高い方が節税効果は高まります。

例えば5,000万円の物件であれば、耐用年数越えの中古アパートだと「建物:土地=1,000万円:4,000万円」の様な形で評価されることが一般的です。しかしそれでは節税効果がかなり限定的になってしまいます。そこで、節税を謳う業者は「建物:土地=4,000万円:1,000万円」として建物比率を極端に高くして販売します。

不動産の取引では、物件価格に対する土地と建物の割合は、売主と買主双方の協議で決定されますので、ここまでは特に問題はありません。

問題が発生するのは、オーナーが減価償却費を税務申告した時点です。

税務署はすでに価値がほぼ無くなっている建物を過大に減価償却しているとみなし否認、最悪の場合は故意の脱税とみなして重加算税を課す場合もあります。

この時点で「業者に騙された」と感じる人もいると思うが、実際に責任を取るのはオーナー自身。

もちろん、税務調査は無視すると会社にまで押しかけてくるので無視はできません。節税目的で購入して税務調査に怯えるなんてバカバカしいですよね。。

しかも一度税務調査に入られるとその後もマークされるため数年に一度の税務調査に怯えながら、真っ当な経費さえ毎回のごとく否認されてしまいます。

エリートサラリーマンA氏の転落。1億円の節税物件が「爆弾」に変わるまで

「自分だけは騙されない」——そう思っているエグゼクティブほど、この罠にハマります。外資系IT企業に勤めるA氏(42歳・年収1,500万円)が体験した、節税物件購入から絶望までの軌跡を見てみましょう。

第1章:甘い誘惑と「フルローン」という勘違い(購入時)

A氏の携帯に有名な不動産会社から電話が入ります。多額の税金に悩んでいたA氏は、「節税」に惹かれて話を聞くことに。 提案されたのは、地方都市にある築30年超・1億2,000万円の鉄骨マンション。

「表面利回りは8%。ローンを引いてもキャッシュフローが出ますし、短期間で減価償却できるので劇的な節税になります」

A氏は空室リスクを懸念しましたが、営業マンは「ご安心ください。弊社がサブリースに入りますので、家賃は毎月確実に入金されます」と切り返します。

さらに、信用金庫から「35年のフルローン」が降りることが決定。「銀行がお金を貸す=安全な物件」と解釈したA氏は、購入を決断しました。

第2章:綻びの始まり(購入から2年後)

見事に所得税が還付され、節税効果を実感していた2年後。不動産会社から1通の通知が届きます。 「周辺相場の下落に伴い、サブリースの保証賃料を引き下げさせていただきます」

契約書には、家賃を見直せる条項が組み込まれていました。拒否すればサブリースは解除されます。泣く泣く同意した結果、キャッシュフローは逆転し、「毎月の手出し(赤字)」が発生し始めました。

第3章:訪れた絶望と「デッドクロス」(購入から4年後)

さらに2年後、本当の地獄が訪れます。特権だった「短期間での減価償却」が終了したのです。

経費計上できる減価償却費が消滅したことで節税効果はゼロに。さらに、ローンの元本返済は経費にならないため、帳簿上は黒字となり「手元のお金は赤字なのに、税金だけが高くなる(デッドクロス)」という最悪の事態に陥りました。

手放そうと売却査定に出すも、割高で買わされていたこと、そして古すぎて次の買い手にローンがつかないことから、売却額はローンの残債を数千万円も下回ることが判明します。

第4章:抱え続ける時限爆弾(現在)

数千万円の現金を一括で用意して「損切り」することもできず、A氏は今も物件を持ち続けています。毎月赤字を補填し、高い税金を払い続ける日々。さらに、築古特有の突発的な修繕費用という爆弾に怯えながら、精神をすり減らしています。

なぜA氏は失敗したのか?3つの致命的な勘違い

A氏が地獄に落ちた原因は、以下の3点に集約されます。

  1. 「サブリース」の過信 サブリースは永遠の保証ではありません。「サブリースがないと不安な物件」は、そもそも賃貸需要のない不良物件です。

  2. 「銀行の融資=物件の評価」という勘違い 前述の通り、銀行は物件ではなく、Aさんの「本業の年収(与信)」に融資しただけです。

  3. エリートサラリーマンゆえの「万能感」 一棟物件のフルローンが降りるサラリーマンは、社会の上位数%の優秀な方々です。しかし、「本業での有能さ」と「不動産投資での成功」は全く関係ありません。不動産会社は、プライドが高く決断力のあるエグゼクティブを転がす術に長けています。警戒しすぎるくらいがちょうど良いのです。

まとめ:不動産投資の本質に立ち返る

節税はあくまで投資の「おまけ」に過ぎません。 不動産投資の基本は、純粋な「収益性(キャッシュフロー)」と「資産価値」です。

古いアパートは人気がなく、入居がつきません。実勢価格よりも割高で、人気のない物件は、売却時の出口が見えません。サブリースが打ち切られた瞬間に、節税どころか純粋な赤字を生み出す負債へと変わります。

「節税になります」「サブリースで安心です」「銀行が融資してくれます」 この3つの言葉が揃ったら、一度立ち止まってください。その物件は本当に価値があるのか、自分の目で厳しい現実を見極めることが、資産を守る唯一の手段です。

田中
田中
すでに、節税用に築古アパートを購入してしまった方は、まずは相談ください。

傷口を小さくする対策が、必ず何かあります。

都心部の不動産投資でもこれだけの不労所得は可能!

私はワンルームマンション投資を中心に資産を構築してきた結果、

現在、保有物件数17戸年間家賃収入1,010万円を得ています。

私も本業がある身ですから、その強みを活かして都心部のワンルームマンションで資産形成をしてきました。

節税効果は築古アパートには及びませんが、築古アパートのようなリスクもありません。節税にこだわるよりも、堅実に資産形成をする方が結果的にうまくいくと私は考えます。

私の投資実績の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。